80年代生まれの焦燥と挑戦:徳谷柿次郎「隣の家のお兄ちゃん的な伝え方に興味がある」

Emiri Suzuki | 2018/02/15 12:00

| WEBメディア「ジモコロ」で編集長を務める徳谷柿次郎(Photo by Tetsuya Yamakawa) |

「ミレニアル世代」という言葉が市民権を得て久しい。アメリカで1980〜2000年初期に生まれた世代のことを指し、これからの経済を動かすとされている若者たちだ。日本でも同様に「バブル」「ゆとり」「さとり」と常にそれぞれの世代は名前を付けられがちだが、ふと自分たちの世代にはこれといって名前が付いていないことに気づく。今回、ジャンルを問わず花開きつつある30代の方たちと、じっくり話してみることにした。

第4回 徳谷柿次郎(ジモコロ編集長)

全国の地元あるある、地元の不思議・面白ネタが集まるWEBメディア「ジモコロ」の編集長を務め、自身も夫婦で東京と長野の二拠点生活を始めている実践者・徳谷柿次郎。ストリートとヒップホップの感覚に根ざし行動を続ける彼に野望を聞いてみた。

ー今年から長野と東京の二拠点生活を始められたんですね。

徳谷 今、自分なりに東京と長野のグラデーションを作っているところです。長野は家賃も結構高いですけどね。

ージモコロ編集長になられローカルに興味が湧き、ついに拠点も?

徳谷 いや、逆です。『ジモコロ』を作ったのは自分で長野に遊びに行った体験が楽しすぎたことがきっかけ。もっと知りたい!メディアを作れば遊んだことも記事にできると考えたからでして。

ーいいですね、それは(笑)。

徳谷 三十路記念に“薪割りをして背筋を鍛えたい”とFacebookに投稿したところ、長野の村に住んでる女の子から「うちでできますよ」とコメントがついて。冗談だったんでしょうけど、当時僕は行動力を大事にしようとしていた頃で、「本当に行っていいですか?」と実際に行ってみました。そこで土と触れ合って、採れたての野菜を食べた体験が衝撃的で、そこからローカルに興味が湧きましたね。

ーすごいです。ご出身は大阪ですが、東京はいつか離れたかった?

徳谷 東京は家賃が高いなあとは思っていましたけど。僕自身は両親が離婚していたりで大阪にすら特に思い入れもない。たぶんこれは生存戦略で、自分が全国どこに行っても受け入れてくれるような環境、港のようなものを作りたいと思っているんですね。

ー自分自身の居場所を。

徳谷 そう。地方創生や移住がどうとか、正直今も課題としては認識していても、実はそんなに興味はなくて。いろんな土地で出会った人との関係性を作ることが一番面白い。だから関係値を作る手段として「ジモコロ」で記事にしている、というのは大きいです。

ー自分の生きていきやすい場所をつくる、ということですね。

徳谷 しかもそれを47都道府県に、と。でも地元の人からしたら当たり前のことも、僕からしたら全て新鮮なんです。自分の目や耳で感じたことをコンテンツにしたり人前で喋るようにすると、当たり前のものがちょっと面白く伝わる。そういうことをしている人はまだ全然少ない気がしています。ローカルは一個のどこかの成功事例に皆で飛びつき、コピーしたがる傾向が強いなとも感じるんですけど……。僕の好きなヒップホップの世界じゃありえません。お前はモノマネだって、速攻ディスられるでしょうね(笑)。


徳谷柿次郎がレコメンドするもの
「いい時間」 EVISBEATS
初めて長野へ遊びに行った際、ローカル線でアルプス方面を走っていると、電車の窓の外に美しい自然の景色が見え、その瞬間大好きなこの曲と重なった。徳谷さんの現在に至るまでの様々な動き・流れを作り出した一曲

ー伝え方で、いま考えていることはありますか?

徳谷 世代的に今の30代はいろんなカルチャーが混ざったラッキーな時代に育ったと思います。なのでリアルなお店を構えて、ちょっと悪いおじさんが集まって、長野の若者に本やミックスCDを渡すとか……。隣の家のお兄ちゃん的な伝え方に興味がありますね。あとは、新しい村を作ろうと友だちと話してます。

ー村づくり!

徳谷 自分の本当に仲の良い友達に、半年に一度でも遊びに来てもらえるような場所を作りたい。段々と、お金を稼ぐことに興味を持てなくなってきているのもあって。友だち経済的な感覚で、利益をあまり追求しないようなコンセプトを作れると生きやすくなりそうです。

ーローカルからの目立ち方も含めて考えている、と。

徳谷 ヒップホップやプロレスといった、自分の好きな世界のファンタジーの作り方や生き方に学びつつ、積み上げた体験を糧にしてやっていきたいですね。

徳谷柿次郎(ジモコロ編集長)
1982年、大阪府生まれ。株式会社Huuuu代表。品川経済新聞、有限会社ノオト出身。2011年より株式会社バーグハンバーグバーグにWEBディレクターとして入社。 2016年12月末に退社後、株式会社Huuuuを設立。どこでも地元メディア「ジモコロ」と、小さな声を届けるWEBマガジン「BAMP」でそれぞれ編集長を務めている。

EmiriSuzuki

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