キングスマン続編で使われた70年代大ヒット曲の秘密

「故郷にかえりたい(カントリー・ロード)」は最近映画界で人気なようで、ステイツマンのメンバー“テキーラ”を演じていたチャニング・テイタムが主演した犯罪コメデイ『ローガン・ラッキー』にも主題歌的に用いられていた。同作の舞台は曲の通りウェストバージニア州なのだが、テイタム演じる主人公を含めて登場人物が白人労働者階級をカリカチュアしたようなキャラクターばかりなのが印象的だ。

プレスリリースによると、脚本を書いたレベッカ・ブラントは、ウェストバージニア出身でテイタムの幼馴染とのことだが、彼女の姿を見た者は誰もおらず、監督のスティーブン・ソダーバーグの変名ではないかとの噂がある。それが本当なら、ソダーバーグも映画で描かれた世界がバーチャルなものであることをこの曲を使って告白していることになる。

さらに言うと、この曲の使用法については日本映画にも似たような例がある。主題歌に用いていたスタジオジブリのアニメ映画『耳をすませば』がそれだ。同作の舞台は東京都郊外の多摩市にある京王線聖蹟桜ヶ丘駅近辺をモデルにしている。この一帯は70年代に開発された多摩ニュータウンに属していて、先祖の代から住んでいた住民はほとんどいない新興住宅地である。もしかすると「故郷にかえりたい(カントリー・ロード)」は、実態のない故郷を賛美する曲として運命づけられているのかもしれない。

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