当事者たちの本音に迫った「最後のジェダイ」制作密着ルポ

BRIAN HIATT | 2018/02/11 11:00

| 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から。デイジー・リドリー演じるレイ(JONATHAN OLLEY/© 2017 LUCASFILM LTD) |

 
前作でレイが雪に埋もれたライトセーバーを手にし、内に秘めた力を呼び起こした瞬間、彼女の運命の歯車は回転し始めた。それは彼女にバトンが手渡されたことを意味していた。レイというキャラクター、そしてあの瞬間が、少女たちを含むすべての女性に及ぼした計り知れない影響を、彼女は今でも実感しきれずにいる。しかし現在、彼女はさらに大きなプレッシャーを感じているという。「あの頃は無我夢中で、まるで夢の中にいるみたいだったから」。彼女はそう話す。「ライアンに言ったの、完全にノイローゼ状態だって。『頭がおかしくなりそうよ、世界中が注目しているんだもの。一体どうやって乗り切ればいいの?』」
 
その問題の原因の一つは、前作で賞賛を集めた自身のパフォーマンスを、彼女が過小評価しがちな点にあるのかもしれない。前作における彼女の単独シーン、特に彼女がわずかなポーションから作る緑色のパンを口にするシーンは、まだレイというキャラクターに馴染みがなかった人々の心を一瞬にして掴んでみせた。ハリソン・フォードはあのシーンに「胸を打たれた」と彼女に話したという。「自分ではよくわからないわ」。肩をすくめてそう話す彼女は、すべてエイブラムスと撮影監督のダン・ミンデルの功績だと主張する。「私は食べてただけだもの!」


© 2017 LUCASFILM LTD. 

しかしレイを演じたことが、彼女に自信をもたらした部分もある。現在撮影中の映画における、勢いよく開いたドアに彼女がノックアウトされるシーンは、当初スタントマンを使う予定だった。彼女はリーマンに直接こう伝えたという。「ダグに言ったの、このシーンにスタントマンはいらないって。これがトム・ホランドの役なら、そうはいかないだろうけど」
 
世界中のファンとは違い、リドリーは何年も前からレイの両親が誰なのかを知っていた。『フォースの覚醒』の撮影中に、エイブラムスが明かしたためだ。そのことによる影響は特になかったとリドリーは話す。「そのとき伝えられたことが真実なんだと思ってたから」。しかしそれは、その疑問の答えを自由に決められたというジョンソンの主張と矛盾する。「その点については何の制約も与えられなかったからね」。彼はそう話している。「彼女が何者なのか、僕は何ひとつ知らされていなかったんだ」。偶然とはいえ、ジョンソンとエイブラムスが同じ結論にたどり着いたということは、レイの両親が未だ物語に登場していない、知られざるキャラクターではないことを示唆している。加えて、口の固いジョンソンとは対照的に、エイブラムスは彼とジョンソンが手を組んだ部分が存在することをほのめかしていた。もちろん、謎かけが好きなエイブラムスが単にファンの好奇心をくすぐっているだけの可能性もある。いずれにせよ、リドリーはファンによる空想を楽しんでいるようだ。中でも、完璧なコンセプトとタイムトラベルが登場するものを気に入っているという。レイがルークの娘か姪にあたるという説が有力だが、真実が明らかになるのはまだ先だ。
 
2015年にリドリーは、フィッシャーにおけるレイアのケースのように、自身に今後ずっとレイのイメージが付きまとうことになっても構わないと話していた。しかし、今はそうは思っていないようだ。「キャリーのケースとは全く違うんだけど」。そう前置きした上で、最終的に演技よりも執筆に重点を置いたフィッシャーとは違い、彼女は今後もさまざまなタイプのキャラクターに「染まりたい」のだと話す。その一方で、「レイが私の一部であることは確かだ」と彼女は認める。「でも決して私の全てじゃない。私は自分の一部を、レイというキャラクターに注ぎ込んだ。キャリーもそうだったからこそ、レイアは彼女の一部になったんだと思う」
 
このあとエイブラムスによる『最後のジェダイ』の続編でこの続三部作が完結した後、ジョンソンが指揮をとる新たな『スター・ウォーズ』は、これまでの物語とは切り離されたストーリーを展開すると言われている。エイブラムスにしてみれば、スカイウォーカーの物語の収束を任されたことになる。「そう理解しているよ」。彼はそう話す。「でも未来のことは誰にもわからないさ」
 
リドリーにとっては、レイの未来ははっきりしている。次回作以降、彼女はレイを演じるつもりはないと明言している。「そのつもりはないの」。彼女は断言する。「この仕事を受けたとき、私は何が待っているのか把握してなかった。台本にも目を通してなかったけれど、素晴らしい人々と仕事ができると思ったから、迷わずイエスと答えた。今となっては、思っていた以上に私はラッキーだったと感じているの。自分の居場所はここなんだって思えるような作品の一部になれたんだもの」
 
彼女の言葉はむしろイエスに聞こえる。「答えはノーよ」。少し笑って、彼女は繰り返す。「何があっても気持ちは変わらない。もちろん次回作への参加には心から興奮しているわ、同意した3作への出演を完遂するっていう意味でもね。だからこそ、この3作で私の役目はおしまい。タイミング的にも、それがちょうどいいと感じるの」
 
共演者たちがそうだったように、30年後に復帰する可能性はあるかと筆者は尋ねた。茎ごと炒めた芽キャベツのソテーをつまみながら、彼女は真剣に考えていた(その料理を筆者とシェアした彼女は、あのポーションブレッドを口にするシーンを思い起こさせた)。「どうかしらね。私は次の30年間で世界が滅びかねないって思ってるんだけど、もし30年後に人々が無数の地下シェルターで生活しているような状況になっていなかったら、やってもいいかもね。でもやっぱりわからないな。この作品を通して素晴らしい経験をさせてもらったし、多くの人々を笑顔にできたと思う。それはやっぱりこの作品を作った人々が、誰よりも『スター・ウォーズ』を愛しているからだと思うの」
 
その場で我々が考案した新たな三部作について、彼女はより真剣に考え始めているようだった。「そのとき私は……」。彼女は少し考えてこう続けた。「55歳か」。中年女性のジェダイを想像する彼女は一層若く見える。しかしその答えが出る前に、取材は終了時刻を迎えた。翌日に撮影を控える彼女は、午前5時25分に迎えが来ることになっているという。「明日のことで手一杯だもの」。彼女はそう話す。「そんな先のことを考えてる場合じゃないわ」


Translated by Masaaki Yoshida

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