当事者たちの本音に迫った「最後のジェダイ」制作密着ルポ

BRIAN HIATT | 2018/02/11 11:00

| 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から。デイジー・リドリー演じるレイ(JONATHAN OLLEY/© 2017 LUCASFILM LTD) |



2015年にジョン・ボイエガは、ドライバーは撮影現場では常にカイロ・レンであり続けたと語っていたが、それは必ずしも事実ではないようだ。ドライバー曰く、ともすれば緊張感が失われてしまう環境において、キャラクターのテンションを保とうと努めていたのだという。「視聴者にしてみれば、『スター・ウォーズ』はアクション・アドベンチャーだ」。彼はこう続ける。「でも撮影現場は、まるでコメディ映画のワンシーンなんだよ。ストームトルーパーがトイレを探して徘徊してたり、トロールに扮した人たちが通路に飛び出してきたりね。笑えるよ」。彼自身、ヘルメットを被っている状態ではほとんど周囲が見えないのだという。「気配すら感じさせないはずなのに、木の根に足を取られたりするんだよ」
 
彼は自身が演じるキャラクターを子どもじみているとは捉えていない。「少しエリート主義的なところを感じるよ」。分かり合えない母親が王女であることについて触れた上で、彼はこう話す。「彼はその特権を自覚していると思う」。彼はカイロ・レンが、自身の年齢である34歳よりも年下であることを認める。「年齢を明かすつもりはないよ、深読みする人もいるだろうからね」。少し顔を赤らめた彼は、後にそのトピックに触れたことを後悔していた。ネタバレにつながるのだとすれば、それは明かされていないレイとの関係に関することなのかもしれない。本作の撮影を通じて、2人は多くの時間をともに過ごしている。「カイロとレイの関係は素晴らしいわ」。そう話すリドリーを、ドライバーはいつになく率直にこう褒め称える。「彼女は素晴らしい共演者だよ」
 
ドライバーは当初、『スター・ウォーズ』への出演をちゅうちょしていたという。「僕は昔からハリウッド映画には懐疑的だった。規模が大きすぎるからね」。彼はそう話す。彼をその気にさせたのは、カイロ・レンという悪役の持つオリジナリティと二面性について熱く語ったエイブラムスだった。「人々が抱いているイメージ、それが彼を覆っていると思う」。そう話す彼は、取材終了後にはキャラクターが抱える「混乱と脆さ」について認めていた。
 
カイロ・レンは決して悪役ではないと、ドライバーは熱っぽく語ってみせる。
 
「デス・スターの中で死んだ人々はどうなるんだ?」。そう話す彼のどこか幼い茶色の瞳には、いつの間にか鋭い光が灯っていて、まるでカイロ・レンが憑依したかのようだった。「あの場で命を落とした何十万人だって、テロ行為の犠牲者のはずだろう? 彼らにだって家族がいたはずだろう? 人は他者のケースを理由に、自分の立場を正当化しようとする。自分が特別な立場にいて、信じて疑わない正義を抱えているのなら、その人間はあらゆる力を使って勝利をもぎ取ろうとするものだ。それはどちら側にも言えることなんだよ」

 「帝国」側につけと言わんとしているのか、筆者はそう尋ねた。彼は笑って、少し大げさな口調になってこう話す。「反乱軍こそ悪だ」。彼はそう言って、握った拳をテーブルに置いた。「私は確信している!」
 
大雨となった木曜の夜のモントリオール、カナダにおけるレストラン・ランキングで第4位に選ばれたワインバーのLe Vin Papillonの賑わう店内で、筆者はジェダイの到着を待っていた。時間どおりにやってきたリドリーは、身にまとったフェイクファーのコートとジャンパースカートを「ワードローブのお荷物的存在」と呼ぶ。短めの髪を頭上でまとめたそのヘアスタイルはレイを思わせるが、彼女は周囲に気付かれることを気にしない。「いつもこの髪型なの」。リドリーはそう話す。「今更変える気はないわ」。ダグ・リーマンが監督を務めるSF作『混沌の叫び』の撮影で、彼女はモントリオールに3ヶ月ほど滞在している。「撮影はちょっとゴタゴタしてるんだけどね。撮影が進むにつれてストーリーを決めてるみたいな感じだから」。彼女はそう話す。「あまり私の好きなやり方じゃないのよね」
 
共演者のトム・ホランド(『スパイダーマン』最新作で知られる)の親知らず抜歯のため、思いがけず2日間のオフを与えられていた彼女は、その2日目となる当日もまだ疲れている様子だった。「お尻にビタミンBの注射でも打ってもらおうかな」。愚痴さえもエレガントに聞こえるイギリスの上流階級風のアクセントで、彼女はそうおどけてみせる。彼女は過去にハミルやフィッシャーが経験した、大役を演じた後に直面しがちな問題にうまく対処しているようだった。その一方で、急速にスターダムを駆け上がった25歳の彼女は、脚光を浴びる前から計画していた大学に半期通うという目的こそ去年果たしたものの、現在は映画スターとしての多忙な日々に追われている。「何一つ自由にできない状況なの」。彼女はそう話す。リーマンの作品のほかに、彼女は今後4作品の撮影が控えている。「今までの人生でこんなに忙しかったことはないわ。脳みそが全部消化できてるかどうかは怪しいわね」。夜驚症の症状が出ることも少なくないという。「夜中に飛び起きて、大声で叫び出すの」

Translated by Masaaki Yoshida

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