当事者たちの本音に迫った「最後のジェダイ」制作密着ルポ

BRIAN HIATT | 2018/02/11 11:00

| 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から。デイジー・リドリー演じるレイ(JONATHAN OLLEY/© 2017 LUCASFILM LTD) |


『フォースの覚醒』におけるマーク・ハミルの登場シーンは1分未満であり、彼は一言も発さない。それでいてあの場面には、俳優として過小評価されながらも、ブロードウェイの舞台俳優および声優として知られるようになった彼の実直さが、どこまでも生々しく描かれていた。90年代初頭から、彼はアニメ版ジョーカーの声優として広く認知されてきた。(声優という仕事について、ハミルはこう語っている。「やってみて興奮したよ。だって地獄に落ちていくさまを表現することもできるんだから。セリフを暗記する必要もないしね」)。何年にも渡ってジェダイにおけるタルムードを研究し続けていたであろう孤独な山頂で、近づいてくるレイの姿を目にしたルーク・スカイウォーカーの髭に覆われた顔には、悲しみと恐怖、そして希望が等しく見てとれる。
 
「別にキャリアを意識してたわけじゃないんだ」。ジョンソンのオフィスにやって来たばかりのマーク・ハミルは、彼の隣に腰を下ろしてそう話す。過去にダース・ベイダーによって切り落とされたその右手は、コーヒーの入った大きな魔法瓶を持っている。年老いたジェダイを演出していた髭を短く揃えた彼は、そのスタイルを気に入っている様子だった。「一度は完全に剃ってしまったんだけど、その後で気付いたんだ。髭で顎のたるみを隠せるってことにね」
 
チャーミングでおしゃべり好き、そしてどこか落ち着きのないハミルは、キュートな魅力に満ちた映画界のゴールデンボーイだった頃でさえ、その素顔は内気なギークだった。興奮しやすい彼のワイルドな瞳は、ルークと同じく数年間を宇宙の彼方の惑星で孤独に過ごし、この地球での生活を思い出そうとしているかのような印象を与える。少なくとも映画界のスターダムという環境に、彼はまだぎこちなさを感じているのだろう。
 
常につきまとう『スター・ウォーズ』のイメージに長く苛まされたことを、彼は否定しない。舞台で主演を務めた『アマデウス』の映画化に際し、彼は劇場版のオーディションを受けるも、スカイウォーカーのイメージを理由に却下された。「それでも、ひどい憤りを覚えたことはないんだ」。彼は39年間寄り添っている妻のマリールゥと家庭を築きながら、『ジェダイの帰還』以降も絶えず演技の仕事を続けてきた。そして今再びルークを演じることについて、彼はこう話す。「僕のキャリアの到達点、そう言っていいだろうね。その重大さを意識してしまったら、この役を演じることはできなかったと思う。ライアンにも伝えたよ。『誰の目にも触れない、無名のアート映画に出演しているつもりでやる』。馬鹿げてるけど、僕は彼にそう言ったんだ」
 
『フォースの覚醒』における登場シーンについて、彼はこう話す。「過去30年間で何があったのか、僕は完全には把握してなかったんだ。おそらくJ・Jもそうだったと思う。だから僕は、彼にさまざまな選択肢を与えるようにしたかった。中立、懐疑心、疑念、言葉を発しないからこそ、いろんな解釈ができる。僕は無声映画を観るのが好きでね。セリフがないということは、自由に想像を膨らませられるってことなんだ」


DAVID JAMES/© 2017 LUCASFILM LTD 

ハミルの登場シーンがごくわずかであることに対して、エイブラムスは彼が気を害するのではないかと心配していたという。「子どもの頃からのヒーローを侮辱することだけはしたくないからね」。エイブラムスはそう話す。「だけど同時に、僕はあのシーンが映画史上最もドラマチックな瞬間の一つになり得ると思っていたんだ」。事実、台本を手にしたハミルは当初こう反応したという。「酷い扱いだな、もうキャリーやハリソンと一緒にデス・スター内を駆け巡ることはないってわけか!」

Translated by Masaaki Yoshida

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