40年に渡る活動期間、ザ・フォールは文字通り何ダースものレコードをリリースしている。その中には批評家たちが傑作として大絶賛した作品もいくつかあったが、多くは取るに足らない、記憶に残らない作品と見なされた。そんななか、彼らはガレージ・ロック(1997年の「Levitate」)、ダンス(ニュー・ウェイヴ風の曲「Hit the North」や「Free Range」に顕著)、レゲエ(リー・ペリーの奇妙なカバー曲「Kimble」)、コンサートロック(イギリスの詩人ウィリアム・ブレイク風味を加えつつウィリアム三世について歌った「I Am Kurious Oranj」)と、異なるスタイルを果敢に取り入れていた。ダンス要素という点では、D.O.S.E.やコールドカットの楽曲にスミスがゲスト参加したこともあった。フランク・ザッパがそうだったように、フォールのディスコグラフィーは世界各地の熱狂的な音楽ファンの間で掘り下げたディベートが交わされる題材となっている。