追悼マーク・E・スミス、その軌跡をザ・フォールの10曲とともに振り返る

享年60歳で亡くなったザ・フォールのマーク・E・スミス(Photo by Lex van Rossen/MAI/Redferns)

ザ・フォールのシンガー、マーク・E・スミスが60歳で他界した。UKポストパンクの預言者である彼の軌跡をザ・フォールの10曲とともに振り返る。

1月24日、ザ・フォールのマネージャーであるパム・ヴァンダーは声明文を出した。

「非常に残念だが、我らのマーク・E・スミスの死去をお伝えすることとなった。今朝、彼は自宅で息を引き取った。詳細は一両日中に追ってお伝えするが、現在悲しみに包まれたパムとマークの家族のプライバシーを尊重していただきたい」

音楽の催眠術師や喚き散らす狂人という側面を持ったスミスはUKポストパンク界の中でも非凡な存在で知られていた。彼のマンチェスター訛り、ドライなウィット、卓越した言葉遊びはフォールの音楽を成す重要な要素だった。彼の音楽はペイヴメント、ソニック・ユースといったバンドの他、2000年代に盛り上がりを見せたニューヨークのダンス・パンク・シーンに多大な影響を与えた。



"Repetition" (1978)


"How I Wrote ’Elastic Man’" (1980)


自身の気性の激しさを承知した上で、頑固といえるほどの独立心を持っていたスミスは、フォール唯一のオリジナル・メンバーとしてバンドを率いて、幾多のメンバー・チェンジとさまざまな変化を乗り切った。1977年にイギリスで勃興したパンクのムーブメントが吹きすさぶ中、ザ・フォールは直球のパンク・サウンドから少し外れたアプローチで活動を開始。すぐにアート要素が色濃くなった。これはスキッフル、クラウトロックの要素の他、強力なリズムを主体にしたスミスの言葉使いもインパクトを与えた。

Translated by Miki Nakayama

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