ローリングストーン誌が選ぶ「2017年ベスト・ソング」50曲

4位 カーディ・B「ボダック・イエロー」

カーディ・Bが登場する前、私たちはどうやって困難に打ち勝ってきたのだろう? “ストリップ・クラブのマライア・キャリー”を名乗る彼女は、「バッグをもらって歯を直した/こういうのは安くないってあんたら売春婦が知っているといいけど」というブロンクス・フローで参上の狼煙を上げた「ボダック・イエロー」で、世界を大混乱に陥れた。現在のカーディは踊らない。彼女が動かすのはマネーで、血塗られた靴で踏み潰すのは自分のアンチたちだ。彼女の「リアルじゃなきゃ付き合えない」という言葉通りに。

3位 ケンドリック・ラマー「ハンブル」

現役最高峰のラッパーが、これまで一度も興味を示さなかった“ヒットするホップス”へと舵を切って、難なく結果を出したようだ。愉快なほど開き直ったリアルな歌詞と、プロデューサーのマイク・ウィル・メイド・イットが提供したトラックで、彼は自身初のナンバーワン・ヒットを手に入れた。ポップな意匠を駆使した「ハンブル」は、肉割れしているケツみたいなリアルさを持ち合わせている。

2位 ロード「ホームメイド・ダイナマイト」

マジですごいよね? ロードは『メロドラマ』で度肝を抜くような躍進を果たしたが、「ホームメイド・ダイナマイト」は傷心がピークに達した彼女が、パーティーで気の合う人と出会った様子を描いた、神経質でセクシーなシンセポップ・スリラーだ。靴を脱いで一緒に踊り、これまでで一番の嘘を語り合う二人。そんな二人に寄り添うように鳴り響く、割れたガラスみたいなスウェディッシュ・エレクトロ・ビート。この曲には、カリード、SZA、ポスト・マローンをフィーチャーした極上のリミックスも用意されているが、この曲をまとめ上げているのは、「パッ!」という声とともに彼女の心のダイナマイトが弾ける瞬間まで続く、ロードのエキセントリックな囁き声だ。ダンスフロアで目が合うスリルを味わいながら、ロードはその瞬間を祝っている。

1位 ハリー・スタイルズ「サイン・オブ・ザ・タイムズ」

ワン・ダイレクション出身のスターなのだから、ソロに転向しても安全第一で行くと思っていた人もいるかもしれない。しかし、ハリー・スタイルズは初のソロ・シングルでそんな疑念を一蹴した。ボウイやクイーン級の高貴なグラムを狙った6分近いエキセントリックなピアノ・バラッドの「サイン・オブ・ザ・タイム」は、死と再生を行き来しながら思い悩むスタイルズの天国のような高音ボイスに彩られ、あっという間に大評判となった。「サイン・オブ・ザ・タイム」は一年を通じて、時間と共鳴しながら拡大していったのである。この曲の無謀な野心はそのまま長所となっており、彼の声から聞こえる自信と豊かな感情は、寄せては返す波のように音楽とともに積み重なっていく。あれだけ巨大なサウンドと愛情を持った曲を奏でられるロックスターは、ここ何年間でスタイルズしかいなかった。確かにリスクの高い転身だが、「サイン・オブ・ザ・タイム」を思い付き、それを見事に成功させられるのは、この男しかいない。



Translated by Miki Nakayama / Edit by Toshiya Oguma

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