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ポールがビートルズのメンバーに贈った、幻のクリスマス・ミックスを聴く

JORDAN RUNTAGH | 2017/12/19 15:09

| 1965年にポールが制作したアバンギャルドなサウンドコラージュ作品が初公開(Photo by Mark and Colleen Hayward/Redferns) |

ポール・マッカートニーが1965年12月にビートルズのメンバーたちに贈った、幻の実験的ミックステープが初公開された。

1965年のクリスマス、ポール・マッカートニーはバンド・メンバーにユニークなプレゼントを用意していた。サンプリングで構成された曲、オリジナル曲のスケッチ、アバンギャルドなループ等で構成された自主制作のレコードは、メンバーの間だけで共有されたプライベートな作品だった。「クレイジーで実験的な、メンバーのために作った夜のサウンドトラックさ」。マッカートニーはのちにそう語っている。3枚のみプレスされたその作品は、ビートルズのコレクターズ・アイテムの中でも極めてレアなものの一つとなっている。そのアセテート盤はとうの昔に擦り切れてしまっているに違いないが、先日ネット上で公開された18分に及ぶ『アンフォゲッタブル』の一部からは、ビートルズが最もクリエイティヴだった頃に作られた実験的ミックステープの内容を窺い知ることができる。

何十年もの間、マッカートニーによる抽象的な解説だけが、その作品の内容の手がかりとなっていた。「冒頭のナット・キング・コールの曲名にちなんで、『アンフォゲッタブル』って呼んでたよ」。1995年に彼はマーク・ルイソンにそう語っている。「冒頭の曲の途中で、『そう、君はまさに忘れられない存在だ! 今日のアンフォゲッタブルな……」っていう僕のアナウンスが入るんだ。おかしなインタビューや実験的な音楽、テープループ、他のメンバーが聴いたことのない曲なんかで構成された、雑誌の切り抜きみたいな内容だった。ちょっと奇妙なコンピレーションさ」。未公開の部分にはローリング・ストーンズやビーチ・ボーイズ、マーサ・アンド・ザ・ヴァンデラス等の曲の他、「フィフス・ビートル」と呼ばれたニューヨークの早口ラジオDJ、マレー・ザ・Kについてマッカートニーが語る場面などが収録されているという。

同作の制作時、マッカートニーは当時の彼女のジェーン・アッシャーの家族が所有する、ロンドン中心部にあるタウンハウスに住んでいた。楽器やゴールドディスクの数々をはじめとする、グローバルスターというステータスを物語る品々で溢れかえっていたその小さな屋根裏部屋には、当時彼が夢中になっていたテープレコーダーがあった。「昔Brenellのオープンリールを何台か持ってたんだ」。彼は当時からの友人である、作家のバリー・マイルスにそう語っている。「当時は日中がオフになることが多かったから、その時間を使っていろいろと実験してた。(ビートルズの)活動は夜だったから、日中は家でひたすらテープレコーダーをいじり続けてた。当時の生活は不規則だったよ。午前3時から午後2時までぶっ通しで寝たりすることもしょっちゅうだった。あの頃はすごく自由だったから、とにかくいろんなことを試してた。興味のあることなら何でもね。当時は彼女に振り回されることもなかったし。だからひたすらリールをいじって、実験的なテープを幾つも作ったんだ」
Translated by Masaaki Yoshida

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