『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が期せずして大ヒットした理由

インディアナ州ホーキンスで繰り広げられた物語から約1年、4人は思春期の真っ只中を迎えている。1984年を生きる彼らは『ゴーストバスターズ』やディグダグ、DMX等に夢中だ。とはいえ、超常現象に巻き込まれる子どもたちを演じる役者たちが皆そうであるように、本作の主役たちは皆驚くほど大人らしさを増している(ルーカス役のカレブ・マクラフリン、そしてマイク役のフィン・ヴォルフハルトは、この12カ月の間にそれぞれ15cmほど身長が伸びたようだ。またダスティン役のガテン・マタラッツォは前歯が生え揃っている)。アップサイド・ダウンに幾度となく迷い込み、闇の世界をうろつく影のモンスターの恐怖に怯えるウィルは、4人の中でもひときわ大きな苦悩を抱えている。それでも、芽生え始めた自意識が助長する周囲の女子に対する戸惑いと、日没とともにグレムリンへと変貌を遂げる、エイリアンの接合体のような姿をしたダスティンの「ペット」に対する恐怖心は、4人全員に共通している。


『ストレンジャー・シングス 未知の世界:シーズン2』のワンシーン、ナタリア・ダイアーとチャーリー・ヒートン(Netflix)

ナンシー・ウィーラー(ナタリア・ダイアー)とジョナサン・バイヤース(チャーリー・ヒートン)の2人が、陰謀説を盲信する理論家と情報機関の回し者を通じて互いに接近する一方で、冴えない髪型を改めたスティーヴ・ハーリントン(ジョー・キーリー)には手強い恋敵が現れる。同じくアップデートされた超能力の持ち主イレブン(ミリー・ボビー・ブラウン)は、物語の鍵を握る重要な存在であり続けている。同シリーズでも屈指の人気を誇るイレブンには、息を呑むようなドラマチックな展開が用意されている。アップサイド・ダウンの用水路から現れた彼女は、今シーズンでは実の母と対面し、同じく超能力を持つ女性と邂逅し、育ての父親でもあるホッパーと衝突しながらも和解し、学校のダンスパーティ「スノーボウル」で恋心を抱いたマイクと結ばれる。最も鮮明に80年代を想起させるストーリーラインについては、この場面であることに異論を唱える人はいないだろう。

シーズン1の大ヒットを受けて注目度が俄然高まったことを除けば、シーズン2における最大の特徴は、今作が思春期を迎えた少年たちの成長を描くヒューマンドラマになっているという点だ。13歳から18歳の子どもたちを中心に展開していく物語は、エピソードごとに複雑さと不穏なムードを増していく(批評家のロブ・シェフィールドも指摘している)。新鮮さが話題を呼んだシーズン1に対し、シーズン2の最大の見所は一歩大人に近づいたキャストの魅力だ。かつてスピルバーグの映画に登場する子どもたちに重ね合わせられていた子役たちは、才能溢れる若き俳優へと成長した。ダファー・ブラザーズは、その変化を物語に反映させようとしたのかもしれない。

Translated by Masaaki Yoshida

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