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AC/DCの「まとめ役」だったマルコム・ヤングを偲ぶ

DAVID BROWNE | 2017/12/04 13:30

| Ron Pownall/Getty Images |


「マルコムはバンドのまとめ役だった」と、1980年にリリースされたアルバム『バック・イン・ブラック』の製作にメンバーとして初めて参加したジョンソンは振り返る。同アルバムは全米で2,200万枚の売上を記録し、米国内での歴代アルバム・セールス第6位に入っている。「マルコムはカセットテープと便箋を持って俺の部屋に来て言うんだ。“ラフに曲を作ってみたんだけど、君のアイディアをくれないか”ってね」ジョンソンが「タイトルは?」と聞くと「『You Shook Me All Night Long(邦題:狂った夜)』っていうんだ」とマルコム。「“なんて長いタイトルなんだ!”って思ったけど、マルコムはロックンロールの歴史に衝撃を与えたんだ」とジョンソンは振り返る。



マルコムのプレイは、『ロック魂』1曲をプレイする間に、ギターピック2枚を使い潰すほどだったという。「マルコムはまるでマシンのようだった」と、リック・ニールセン(チープ・トリック)は言う。チープ・トリックとAC/DCは初期の頃、一緒にツアーを回ったこともある。「プレイに対して常に真剣で、絶対にミスをせず、安定していた」

一方でマルコム・ヤングの私生活は、決して安定したものではなかった。80年代後半、彼はアルコール依存症に陥っていた。「マルコムは問題を抱えていたが、家族の中で何か問題があれば、家族の中だけで解決するのが我々のやり方だった」と、マルコムの兄で、前出のマーカス・フック・ロール・バンドのフロントマンだったジョージは証言している。そのジョージは2017年10月に亡くなった。マルコムは1988年の全米ツアーに参加できなかったが、その後アルコール依存症を克服し、本来彼がいるべき場所に復帰した。メガデスのデイヴ・ムステインは、AC/DCと一緒にツアーをした際、バンドの健全なバックステージ・ライフを垣間見たという。「AC/DCのメンバーの誰かが“何か飲むかい?”と勧めてくれたんだが、どうやら彼らはお茶しか飲まず、普通のタバコしか吸わないらしいんだ」

ブライアン・ジョンソンによると、マルコムの痴呆症が現れ始めたのは、AC/DCが『黒い氷』ツアーのリハーサルを開始した2008年のことだった。リハーサル中マルコムは、初期の頃の曲を忘れてしまうことがあったという。2014年にバンドがアルバム『ロック・オア・バスト』のレコーディングを開始した頃には、マルコムはもはやプレイできない状況になっていた。同年、マルコムはオーストラリアへ帰り、療養所へ入った。「コミュニケーションを取るのも難しい状態だ。だけど、マルコムがステージを去って悲しんでいる人間がたくさんいるってことを、何度も何度も伝えたよ」と、弟のアンガスが2016年に明かした。マルコムが参加した最後のツアーとなった『黒い氷』ツアーで訪れたバルセロナでの夜のことを、ジョンソンははっきりと覚えている。「マルコムの目には、1マイル先からもわかるような情熱の炎がまだ燃えていた。彼は最後までやり通す気力に溢れ、皆彼に釘付けだった」
Translated by Smokva Tokyo

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