世良公則&ROLLY対談:ツイストの名曲から70年代ロック黎明期を振り返る

By Joe Yokomizo
Photo by Takeaki Hanaya
 
R:僕もそれは最低限意識しています。
 
S:そのうえで自分という個性を出しているっていうね。時には100%そっちの個性でもいいんだよってくらい。たとえ自分の個性がゼロになった瞬間があっても負けてはないって思えるし、要するに勝ち負けじゃないと思うんです、音が融合するってことは。僕が今やっているGUILD 9というバンドでは(野村)ヨッちゃんやカシオペアの櫻井(哲夫)くんが弾いてくれていたりするんだけど、さっきも言ったけどバンドメンバーじゃないの。感覚としてプレイヤーが集まっているのが面白い。だから、何やってもいいよっていうのがまずベーシックにあって、それで"つまんねぇ"って言われたらそれは俺のせいだから安心して、と。音屋吉右衛門っていうヨッちゃんとのアコギのユニットもそのスタンス。こういう取材を受けるのも、インタヴューをしてくれている人との言葉でのやり取り=セッションだよね。いいセッションが出来れば、いい記事になって出てくる。それを後日読んだ時にいい言葉使ってくれてるなとか、言いたかったこと上手く拾ってくれてるなとか、逆にこの言い方はちゃうやろみたいなのとか、そういうのも含めてセッションなんです。全部がOKじゃなくて、そうじゃないっていう部分があってもいいと思ってる。ROLLYがね、僕の歌うはずだったパートをいきなり歌いだしたりするの。
 
R:(笑)
 
S:そういう時、僕はパッとハモりに回って。それで終わった後"それ俺歌うとこだよね"ってあとで笑うっていう、そういうのもあるから面白いものになっていくんだと思う。それで僕も毎回ROLLYにエネルギーをもらっているしね。それにしても、ROLLY独特の表現者としての感性があるよね。『燃えろ~』のデフォルメにしても、その感性がこっちに移っちゃうこともあるくらい(笑)。YouTubeであれを見た次の日にライヴがあったりしたら思わず引っ張られそうになったりするよ。世良公則が世良公則をデフォルメしたものをさらにデフォルメしてどうするって(笑)。そういうエネルギーの行ったり来たりをどこまで共有できて楽しめるかというのが音楽をやっている意味だと思う。
 
R:抽象画ってあるじゃないですか。音楽のやり取りはあれと似ていますよね。何が描いてあるか分からないから、その人の想像力によって見えるものが違ってくる。世良さんはそれを引き出すのが上手いんです。そして、ギターが上手いですね(笑)。世良さんのブルース的なスライドギターとか、すっごく感心します。オジー・オズボーンと違うのは、ギターが上手いってところ(笑)。
 
S:上手くはないんだけどね。ROLLYのギターが好きだし、ああいうふうに弾けたらいいよねってスタッフにはよく言ってるよ。今日のあれは自分にはコピーできないなとか。共通点を言ったら顔で弾くところくらいかな(笑)。人に"世良さんって顔で弾きますよね"って言う以上にお前も顔で弾いてるよ! と(笑)。
 
R:僕ね、顔で弾くつもりじゃなく弾いてるんですけど、そうならない人の演奏に心を打たれないんですよ。これは歌でもドラムでもキーボードでも、すべての楽器に言えることなんですけど、何かを表現している時はその顔に絶対になると思うんです。要するに"丸出し"ってことですよ、人間性の。大阪のミュージシャンとか特に丸出しじゃないですか。そういうのを隠している演奏にはあまりグッとこない。
 
S:70年代とか80年代の頭くらいの頃、ツイストでヴォーカルをやっている俺に対して世の中の好き嫌いははっきり分かれていたけど、当時から思っていたのは100人いいねって言ってくれたら200人は何だあいつって言っているだろうと。かと言って、そこを繕ってなるべく150くらいにしよう、ともならない。290人が敵でも10人本当に好きな人がいればそれでいいと思って40年やってきているし、逆にそれがエネルギーにもなっているんだよね。それは多分ROLLYが言う"丸出し=さらけ出す"ということに通じてくると思うんだけど、さらけ出している人は俺も好き。ただ、それがカッコいいか悪いかは見る人によると思うし、僕なんかは暑苦しいとか大股開きとか言われてたけど(笑)。そこに問題があるんじゃなくて、そこに掛けてるテンションの問題なんだけど、大股開いているっていうイメージしか残っていない人にはそれでしかないわけ。例えばこういう店でも音楽が流れていたりすると"これ誰?"とか聞いたりする時もあれば、流れているのにまったく耳に入らず話し込んでいる時もある。そんなもんなんだよ、僕らがやっていることって。それ以上でも以下でもないし、人生を語るものでもないし、何かのメッセージを伝えるものでもない。受け取った人の中で何かが生まれて初めてメッセージだしエネルギーになるわけで。音楽なんて右から左にただ流れていくだけのことだけど、人によっては立ち止まってくるっと振り返るかもしれないし、その振り返る人が1人でもいればいいと思ってやってる。僕がよく言うのは、1000人いたら1001人目を作るためにやる、10000人を100000人にしようではなくて、10001人目を作れますか? って。その+1人こそが自分の実力だと思うし、その10001人目に向かうエネルギーをROLLYとかにもらうんだよね。

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