注目バンド"パスピエ"が表現する音楽とアート、その背景とは

By RollingStone Japan 編集部
自らのバンドの性質を"印象派"と称し展開するロックバンド・パスピエ

―なるほど。最初にパスピエに対して思った掴みどころがないという印象は、そういうところだったのかもしれないですね。アートの印象派も同じような定義なんですか?
 
大胡田:絵の方だと、その瞬間を描き出す手法の作品のことを印象派というんです。肌の質感とかにすごくこだわって何日も何カ月も描き込んでいくような写実主義ではなくて、本当にその場所にあった光とかをそのまま描く、その瞬間を切り取るみたいな。光の色みたいなのを乗せていくので、ちょっと滲んだというかボンヤリした感じの全体像にはなるんですけど。そういう意味で、自分のつくる音楽とか歌詞の世界も一瞬を切り取って描いていけたらと思って取り組んでいるので、そのキーワードに共感できたというか。音楽の印象派との定義は違っていてもどこか似ているような感じがするし、その2つの考え方を融合したらなかなか面白いんじゃないかなと思って。
 
―うん、実際面白いことになっていると思います。いろんな要素が入って滲んで、聴いたことのないようなものに仕上がっている。でも、パスピエの楽曲は歌メロがキャッチーだからそれが変に気にならないですよね。ここが変わると一気にとっつきづらい曲になりそうだけど、後ろが変態的なことをやっていてもメロで中和されているというか。
 
成田:そこはとてもこだわってます。自分の中のルールとして、どんなにエモーショナルでアッパーな曲も、バラードとして演奏しても通じるようにするというのがあって。要は分かりやすさということなんだけど、エゴと評価されることって表裏一体で、もちろんやってみたいことはたくさんあるけど自分だけがよければいいということになっちゃうとそれは違うなと思うので。僕らができることで周りの人も面白いと思ってくれることって何だろうというのはずっと考えてはいますね。
 
―うまくエゴと評価の中間みたいなところを縫っていくような。
 
成田:そうですね。やっぱり芸術って、音楽だけじゃなくてアートとかも全部そうだと思うんですけど、人が見たり聴いたりして初めて成立するものだから。スポーツとかもお客さんがいて成り立つのかもしれないけど、記録自体は個人でも作れるものじゃないですか。でも、アートの場合は周りが見て初めてそこでスタートするものだから・・・って思うんです。
 
―それには、聴き手に寄せる部分も必要であると?
 
成田:それは難しいところで、寄せるというよりは引き込みたいんです。この先活動が大きく広がって自分思っていることと評価のされ方が近くなってくれば、こういうこともやってみようかな、とか思えるだろうし。その段階まで行き着くには、もうちょっといろいろ試さないとなとは思っています。
 
Interview by Rika Suzuki (RSJ)

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