注目バンド"パスピエ"が表現する音楽とアート、その背景とは

By RollingStone Japan 編集部
自らのバンドの性質を"印象派"と称し展開するロックバンド・パスピエ

―そもそも、ロックバンドの何にそこまで惹かれたんでしょう? そのままクラシックでやっていく選択肢もあったわけで。
 
成田:そこに対してあまり言及したことがなかったんですけど、やっぱり曲作りというところかもしれないですね。クラシックっていうのは作曲家が作った曲をいかに自分なりに表現するかという世界なので、結局世の中の人にとって有名なのはベートー・ベンやショパンなどの作曲家であって、演奏者の名前ってどれだけ頑張っても職人的にしか捉えられない。そんななかロックバンドのライヴを見て、自分が作った曲を自分でこんなに自由に表現できる音楽の場があるんだというところにすごく惹かれました。あとは、基本的にピアノって一人で完結してしまう楽器なので、バンドじゃないと出せないグルーヴ感だったりサウンド感、歌の説得力の強さだったりとか、そういういろんなことが未知の体験で驚かされましたね。
 
―自分で表現したい欲求がずっとあったということですね。
 
成田:そうですね。"このままでいいのかな"みたいな思いはずっとあったので、そこが見事に合致したというか。
 
―なるほど。それで、2人はどういう感じで出会ったんですか?
 
成田:僕は僕で"バンドやってみたい!"と思って友達の友達だったりとかの繋がりでメンバーを集めてバンドを組んでいて、大胡田も自分のバンドを組んでいて。
 
―どんな経緯で一緒にやることに?
 
成田:その時やっていたバンドでは、自分が考えている音楽的なことやものの捉え方に対して"そうだよね"って共感してもらえる部分もあるけど、やっぱり視点が全然違うところにあると感じていて、なんか自分だけで完結させなくちゃみたいなところがあったんです。でも、そこに同じ視点を持った第三者が新たに加わればもっと面白いことができるんじゃないかと思って、彼女に声をかけてみました。
 
大胡田:話をもらった時に、クラシックの印象派を取り入れたロックをJPOPでやりたいと言っていて、私も絵画の印象派の考え方がすごく好きだったので、割とそこが自分の中ではキーワードでしたね。あと、成田さんとスタジオに入った時に"これだけピアノが上手かったら絶対どうにかなるだろう"って思ったというのもあります(笑)。こんな自在に音を操る人と一緒にやったらすごいことになるんじゃないかなと。
 
―その"印象派"というのはパスピエを知るうえでも重要なキーワードだと思うのですが、それって具体的にどういったことなんですか?
 
成田:音楽的な意味での印象派というのはフランスを起源とした、以前あったものを踏襲しながらどんどん新しいものに取り組んでいった時代の曲たちのことで、それが源流になってジャズが生まれたとも言われています。世界のあらゆる音楽を取り入れていて、それこそ日本のオリエンタルな部分を取り入れた曲もあったりして最初は"この聴いたことない音楽はなんだ"みたいな印象なんだけど、それを紐解いてみると既存のコードや形式を複雑に入れ替えたり重ね合わせたりして滲ませている。例えばジャズを聴いた時に、なんか分からないけどオシャレだなって思うじゃないですか。
 
―カフェやレストランでかかってそうな。
 
成田:そうそう。じゃあそのオシャレ感って何? っていうところを紐解いていくと"こういうことか"みたいな、そういう音楽の作り方ですね。僕はやっぱり音楽はつねに地続きであるという考えで、バンドにおいてもこれは誰々に影響を受けているんじゃないかとか、そういういろんな繋がりがあるものだと思うんです。
 
Interview by Rika Suzuki (RSJ)

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