ダルデンヌ兄弟『午後8時の訪問者』は、ポピュリズムに対するアンチテーゼ

By RollingStone Japan 編集部
ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ。(C) Christine Plenus

社会が移民問題をどう解決していくか、それは政治が決めていくべきもの。だからこの映画では、政治ではなく個々人の気持ちを描いているんだ。移民に対して抱く恐れや反感や憎しみ、あるいは人々の無関心を巧みに利用するポピュリズム、それに対するアンチテーゼを唱える映画だよ。

アメリカだけじゃなく、ヨーロッパでもポピュリズムが台頭している。アメリカほど国民の不安を煽ってはいないけどね。他人に対する憎しみ、侮辱、そういった嫌な感情を助長させるような政策を、アメリカのトランプ大統領はやっている。本来は人々を平和の方向に導く、そのために諸外国と交渉していくのが国家のリーダーの役目だけど、彼は全く逆のことをやってるよね。それは恐ろしいことだよ。これは世界的大惨事を生む可能性がある。アメリカ国民がそういった風潮に反論してくれることを願うばかりだね。

ジャン=ピエール:僕も全く同感だ。


(C) LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM – FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv - RTBF (Télévision belge)

—兄弟で共作を始めて40年は経ちますね。精力的に映画製作を続けるための原動力、インスピレーションはどこから得ているのですか?

ジャン=ピエール 映画を作り続けることで、自然ともっとやりたいと思うようになった感じかな。作業としてこなしていくうちに、具体的に仕事として続けていきたいと思うようになったんだよ。何かの映画を見て、突然映画を作りたくなったわけじゃなくてね。映画製作なら二人でできる仕事だし、もし映画作りをやめたら二人で何か一緒にやるのは無理だからね(笑)。


Jean-Pierre Dardenne/Luc Dardenne
ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ 兄のジャン=ピエールは1951年、弟のリュックは 1954 年にベルギーのリエージュ近郊で生まれる。ジャン=ピエールは舞台演出家を目指してブリュッセルへ移り、そこで演劇界、映画界で活躍していたアルマン・ガッティと出会う。その後、兄弟はガッティの下で暮らすようになり、芸術や政治の面で多大な影響を受け、75 年にはドキュメンタリー製作会社「Derives」を設立する。86 年、ルネ・カリスキーの戯曲を脚色した初の長編劇映画『ファルシュ』を監督し、その後『イゴールの約束』でカンヌ国際映画祭国際芸術映画評論連盟賞をはじめ、多くの賞を獲得。続く『ロゼッタ』ではカンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドール大賞と主演女優賞を受賞、さらに02 年の『息子のまなざし』でもカンヌ国際映画祭で主演男優賞とエキュメニック賞特別賞をW受賞した。その後も『ある子供』『ロルナの祈り』『少年と自転車』『サンドラの週末』と精力的に作品を発表し続けている。


『午後8時の訪問者』
監督・脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
キャスト:アデル・エネル、オリヴィエ・ボノー、ジェレミー・レニエ、オリヴィエ・グルメ
(C) LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM – FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv - RTBF (Télévision belge)
http://www.bitters.co.jp/pm8/
4月8日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。
Interview by Sahoko Yamazaki (RSJ)

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