a flood of circle佐々木亮介インタヴュー(前編)|ポスト・インターネット世代が奏でる"音楽の力"とは

By Joe Yokomizo
現在、全国ワンマンツアーを開催中の3ピースロックバンド a flood of circle。

―『Honey Moon Song』は名曲だし、僕のようなオヤジでもガツンと来る歌詞です。でも、そういう音楽の力を人に伝えるのってネット時代の今では難しくないですか? ビートルズやディランがデビューした時代とはやはり違う気がするんですよね。

ビートルズとかディラン的な熱の伝わり方はしないでしょうね。でも、ビートルズにしてもディランにしても、何かをミックスして新しいことを作ろうとしていた人たちじゃないですか。例えば最近だとチャンス・ザ・ラッパーがやっていることって、それの現代版のような気がするんですよね。彼はネットという場所をすごく上手く使っているんです。彼のTwitterもすごく面白くて、この間の大統領選挙の時にみんながトランプに入れるな! とツイートしている中で、彼だけはひたすら選挙に行こうと言い続けていたり、作品をレーベル契約せず無料ストリーミング配信でリリースしたり、俺はそういうの、すごく好きなんですよね。だから、ネット世代に対して俺はぜんぜん悲観的じゃないです。50年前のロックの価値観のままだとネットには合わないかもしれないですけど。それと・・・。

―それと?

今ってアメリカもイギリスも日本も、ヒットチャートにバンドがいないじゃないですか。まったくいないわけではないけど、昔よりは少なくて圧倒的にソロアーティストが多い。そんな時代にバンドでどう戦っていくかを考えると、昔の価値観で戦い続けるのではなくて、"ネット後"のバンドにならないといけないと思うんです。もちろんビートルズもストーンズもディランも大好きですけど、ポスト・インターネット、あるいはポスト・ヒップホップでしか出来ない音楽があるはずだと思っていて、そこに希望を持っています。その一歩が、今回のようなジャンルレスに何でもやるエンジニアと日本人のロックバンドがぶつかった時に生まれた音楽。とは言え、まだまだですけどね(笑)。

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―ちなみに、同世代でこいつらスゲー! みたいなバンドっています?

うーん・・・こうやってすぐにロックバンドの名前が出てこないのが、俺はむしろチャンスだと思ってるんですけど(笑)。誰もやっていないような新しいことがバンドという形態でもできるんじゃないかという希望がある。実際、今ってチャンス・ザ・ラッパーも生バンドのSocial Experimentと組んでいたり、ケンドリック・ラマーもバックバンドを従えている。テレビとかで演奏する時もバックは絶対に生演奏で、ヒップホップがトラックだけでラップする時代じゃなくなってきているんです。そういう意味では生楽器のバンドもまだまだチャンスがあるし、そこに希望の光を感じています。ただ、それが4人組のバンドじゃないっていうね(笑)。それを4人組のバンドに取り戻せるかどうかのトライアルです、俺らは。それは本当にちょっとの光だけどそこに懸けているし、絶対に諦めたくない。

―偉い!

今ソロアーティストが強い時代ってことは、もう一回バンドが強い時代がきたっていいわけですよ。それをどこかで諦めて、いかにもなロックンロールをやってこれが僕達ですっていう枠を作るのは絶対に嫌だ。それじゃあ何も変わらないし、俺は変わっていくものが正しいと思っているので。

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