a flood of circle佐々木亮介インタヴュー(前編)|ポスト・インターネット世代が奏でる"音楽の力"とは

By Joe Yokomizo
現在、全国ワンマンツアーを開催中の3ピースロックバンド a flood of circle。
10周年の総決算として年始にニューアルバム『NEW TRIBE』をリリースしたa flood of circle。全曲の作詞・曲を担当するバンドのフロントマン・佐々木亮介は、このアルバムの制作を通して、今までの枠の外へと飛び出した新しい音楽の在り方を意識するようになったという。

かつてビートルズが来日し、ロックが社会現象を巻き起こした50年前と現在とでは、音楽が世の中にもたらす力はどのように変わってきているのか。シーンの真っただ中にいる彼だからこその視点で、その見解を語ってもらった。

―年始に発売されたニューアルバム『NEW TRIBE』は最高の出来でしたし、a flood of circle(以下、afoc)の音楽、そして佐々木亮介の話を聞く度に音楽の力って本当にあるんだよなぁと痛感させられます。なので、今日は改めて"音楽の力"をテーマに話を聞こうと。

俺らの音楽を聴いて音楽の力を感じてくれているなら、むちゃくちゃ嬉しいですね。まさに今回のアルバムの最後に収録されている『Honey Moon Song』は"音楽の力"がベースになっている曲なんですよ。

―と、言うと?

順を追って話すと、去年ロンドンに行った時にザビエル・ステーブンソン、通称・ザブと出会って彼と3曲録ったんですけど、ものすごく手応えがあったんです。それで、今度はザブに日本に来てもらってアルバムを作っちゃおうと。その流れの中で最初に作ったのが『Honey Moon Song』でした。ザブは普段デヴィッド・ゲッタのようなEDMの人や、リアーナみたいなR&Bの人ともレコーディングをやっていて、さらにUKバンドのエディターズ、ラナ・デル・レイといったUSインディーともやっている。つまり、音に全然垣根がない人で、ジャンルにこだわらず来るもの拒まず何でもトライしたいというスタイルなんです。俺もそれに影響を受けたというか、今までロックンロールやブルースを更新しようと思ってずっとやってきたけど、ジャンルにこだわらなくていいんだと思えた。それで、『Honey Moon Song』のメロディーは、これまでの枠を取っ払ってビックなメロディーでどんなコード進行を乗っけてもはまるようにしてみたんです。コード進行もストレートなものだけではなく色々工夫を積み重ねて。でも、やればやるほど何を歌っていいかわからなくなってきちゃって・・・。

―わかる気がします。

今回のアルバムのほとんどの曲は誰かに向けて書いているんだけど、『Honey Moon Song』はそんな感じだったので、最初は誰に向けて書いているかもわからなかった。で、困っていた時に北海道のファンから手紙が来たんです。その人は病気で、症状がひどい時は首から上しか動かなくて、しゃべることしかできない状態になってしまうらしいんですけど、リハビリの時にafocの曲を聴いていたらなんと手が動くようになったということが書いてあって。その後もう一度手紙をくれた時は、指がちょっと動くようになったからと絵を描いて送ってくれたり。

―すごいなぁ・・・。

龍が空中に浮いているようなファンタジックな絵だったんですけど、そこに添えてあった手紙に"afocを聴くと力をもらえるんです"って。俺自身も音楽を聴くのはパワーをもらいたい時だし、音楽を聴くと生きていこう、という気持ちになる。ロンドンに行った時、バンドを俺なりに全力で10年やってきた中で無意識に作られた"自分たちの形はこうだな"という枠が破壊されて、今までの自分たちなんてみみっちいもんだったんだと思わされるような体験があったんだけど、その手紙をくれた人にとっては枠がどうこうなんて関係なく、俺らの音楽がすごいパワーになっていたということじゃないですか。"ライヴを観に行くためにリハビリを頑張っています"とか書いてくれていて、そうやって思いもしないところで俺らの音楽を聴いて頑張れた人がいる、それって月にたどり着くよりマジで難しい事してるんじゃないかと思えて、それで『Honey Moon Song』という曲ができたんですよね。

―ええ。

今って、それまで俺自身が枠にはめていたように、何事も囚われやすい時代なのかなと思うんですよ。SNSとかで発信すればするほど見張られている感じがするし、無意識な不自由さを感じている。でも、その手紙をくれた人のエピソードは、そういった今の時代に蔓延る枠を破壊してくれる、生命力みたいに思えたんです。

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