使命に生き、今を受け入れる。KEMURI伊藤ふみおのパンク精神

By TAKURO UENO
PHOTO:TERUMI FUKANO

KEMURIの音楽が一番カッコいいと思ってるし、KEMURIは一番好きなバンド

─今は4月からのツアーのリハーサル中ですが、バンド史上もっとも細かくこだわった内容になるそうですね。このタイミングでそういうモードにさせるってことは、何か不思議な力がありますね、『FREEDOMOSH』には。

伊藤:ありますね。今まで、こんなに細かくリハーサルをやったことないから。新しいアルバムの楽曲を演奏すると、これまでに何度も披露している曲のグルーヴ感もちょっと変わってくるんですよ。面白いもんです。やっぱりここでちゃんとした見せ方しておかないとマズイだろうっていう、前向きな感じはあるかな。それだけのアルバムができたわけですから。

─もともとKEMURIは海外指向が強いバンドですけど、そういう意味で昨年のワールドツアーは大きな気づきというか何かきっかけを与えてくれたのではないでしょうか。昨年夏にはHEY-SMITHの北海道ライブに出演したり、バンドとしてどうあるべきかを分からせてくれる機会も多そうですね。

伊藤:すべては繋がらざるをえないものなんだなっていう感じで、だから今ちゃんとやっておこうぜ、みたいなのがある。自分たちの中に前向きな危機感みたいなのがあって、ここに来ていろんな意味でしっかりやるようになってきていて。一回一回のライブで共演するアーティストのステージはしっかり見ておきたいし、いいところはどんどん盗んで取り入れていきたいっていう気持ちになってますね。

―ツアー中に新曲のアイデアを考えたり、歌詞に使えそうな言葉の断片を作ったりとか、そういうことはしているんですか?

伊藤:昔はノートに思いついた言葉を書いたりしてたけど、ここ10年くらいはぜんぜんやってないです。スマホで写真を撮るくらい。ツアーでイギリス行った時にイギリスの空を撮ったりとか、どうってことない風景写真。それを見直して、どんな気持ちだったかなって思い返したり。

─じゃあ、基本的にはアルバムを作るタイミングで「よし!」と向き合う感じなんでしょうか。自分の内面を探りつつ。

伊藤:そうそう。現在進行形の言葉じゃないとダメなんだよね。前に思いついた言葉を使うっていうのが、しっくりこない。なんとなくボヤーッと忘れずにいた感覚を、今の気分で言葉にして歌詞にしたいっていうのがあるわけですよ。だから、歌入れ直前のタイミングに言葉を変えることもある。それは楽曲も同じで、みんなギリギリまでアレンジ変えたりするし、今のKEMURIはそういう感じでやってますね。

─ギリギリまでということは、曲順を決めたりミックスをする時だったり、大変な部分もあったと思うんですけど、そのへんはどうでしたか?

伊藤:前向きな意味ですけど、消耗はしますよ。バーンアウトする、燃え尽きに近い感じがあります。で、アルバム制作が終わったら終わったでリハーサルがあって、ツアーの初日まで、ヒタヒタした作業が半年くらい続くわけです。うんざりする時もあるんですけど、その繰り返しが好きなんだなって(笑)。

─(笑)追い込まれたほうが本領発揮するケースもありますからね。

伊藤:ライブが好きだし、KEMURIの音楽が一番カッコいいと思ってるし、KEMURIが一番好きなバンドだからね。だから続けられるんだと思う。

─今もフレッシュな感覚を持ちながら、そうやって夢中になれるアルバムを作ることができる。バンドとしては理想ですね。

伊藤:本当にね。思ってもないことって起こるもんだなぁと。それを実感するからこそ、今はなるべく良いことを想像しようと思ってる。それでも予想できないようなことが10~20年後には起こってるんだろうし、そんな気持ちでいろんなことを想像してます(笑)。

─想像したことを一つずつ実現していくのは大変そうですが。

伊藤:まあでも、明言してるからね。僕っていうか、我々って言ってしまうけど、信じれば叶うってことをKEMURIは歌ってるわけで。でも、案外そういうもんなんですよ。オカルトちっくな話じゃなくて、信じれば叶うってことを重たく捉えすぎず、真に受けてやってる。だから皆が良いと思うこと、好きだと思うことをなるべくたくさんやれる場にしたいよねっていう話はよくするんだけど。

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