2017年のオスカーを占う:誰が獲るべきか、誰が獲るのか

By RollingStone Japan 編集部
2017年のオスカーを占う:誰が獲るべきか、誰が獲るのか。
『ラ・ラ・ランド』が圧倒的な強さで賞レースを独占するのか? 映画評論家ピーター・トラヴァースが、誰が今年のオスカーを獲得するのか、誰が栄光を手にすべきか、部門ごとに予想する。

戦いの幕が切って落とされた。ハリウッドで夢を見る白人カップルを描いたミュージカル・ファンタジー『ラ・ラ・ランド』か、黒人の若者がマイアミのストリートで生き抜いていく姿を描いた情熱的なドラマ『ムーンライト』か。この戦いからは、“多様性”に対するオスカーの真剣度が見て取れる。俳優部門に黒人が一人もノミネートされなかったアカデミー賞から2年が経ち、今年は7人の有色人種がノミネートされた。マハーシャラ・アリ、ビオラ・デイビス、ナオミ・ハリス、ルース・ネッガ、デブ・パテル、オクタビア・スペンサー、デンゼル・ワシントンである。

「あら、今年は去年と違うのね」と、アフリカ系アメリカ人の米映画芸術科学アカデミー会長シェリル・ブーン・アイザックスは、今年のオスカー候補者が集った昼食会の挨拶で語っていた。しかし結論を出すのはまだ早い。この兆候は続くのだろうか、それが本当の課題である。罪悪感にまみれたアカデミーの白人会員たちは今年、世間の目を気にして候補者選びをしたのだろうか? 来年はいつも通り、ビジネス主体の体制に戻るのだろうか? そんな中、吉報もある。アイザックスは自身の発言を裏打ちするように、683人の新会員(そのうち46%は女性で、41%は有色人種)をアカデミーに迎え入れたのだ。このような“多様性”を求める動きは、物議を醸している政策、ドナルド・トランプ大統領によるイスラム圏の国々に対する渡航禁止令によって猛攻撃を受けているのだから。

才能を評価するにあたり、人種や肌の色、宗教、性別は関係あるのだろうか? それはあまりにも極端ではないだろうか? あなた自身で見極めてほしい。今年のアカデミー会員による投票は、これまでにもなく政治色の強いものだったであろう。オスカーを勝ち取る者は、ただその栄光を手にするだけではなく、きちんと意思表明をしなければならない。オスカーを予想する時には、そのことも頭に入れておきたい。さあ、ゲームの始まりだ。

<作品賞>
『メッセージ』
『Fences』
『ハクソー・リッジ』
『最後の追跡』
『Hidden Figures』
『ラ・ラ・ランド』
『LION ライオン 25年目のただいま』
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
『ムーンライト』

#OscarsSoWhite(白人だらけのオスカー)のことは忘れよう。あれは去年のことだ。2017年の作品賞は、9作品のノミネートのうち4作品(『Fences』『Hidden Figures』『LION ライオン 25年目のただいま』『ムーンライト』)が有色人種の人々を描いた作品である。さらに4つの各俳優賞部門で、少なくとも一人は黒人の俳優がノミネートしている。これは、90年のアカデミーの歴史の中でもかなり画期的なことである。

『ラ・ラ・ランド』は最も白人色の強い作品(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』も同等)で、アカデミー史上最多ノミネート数、『イヴの総て』(50)、『タイタニック』(97)と並ぶ14部門へのノミネートを達成している。32歳の新鋭デイミアン・チャゼルの傑作『ラ・ラ・ランド』を打倒できるとしたら、それは『ムーンライト』しかないだろう。8部門にノミネートされた『ムーンライト』は、マイアミの貧困地帯に暮らすアフリカ系アメリカ人のゲイの青年の人生を3つのステージを通して描いた作品で、37歳の気鋭バリー・ジェンキンス監督による情熱と想像力に富んだ作品だ。『Hidden Figures』の大奮闘も無視し難いが、注目すべき2作品は下記である。

本命:『ラ・ラ・ランド』
番狂わせ:『ムーンライト』


『ラ・ラ・ランド』(C) 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.

Translation by Sahoko Yamazaki (RSJ)

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