ジョン・メイヤー、新作4曲の起源と着想の背景を語る

『ムーヴィング・オン・アンド・ゲッティング・オーヴァー』

濃厚ではないがパワフルなR&B、『ムーヴィング・オン・アンド・ゲッティング・オーヴァー』は、メイヤーが2014年春に書いた曲だ。『ザ・サーチ・フォー・エヴリシング』の中でも初期の頃に書いた一曲だという。急にギターソロを始めたくなる衝動を抑え、代わりに微妙なニュアンスで演奏することを選んだ数多くの瞬間の一つだという。「“僕にソロをやらせてくれ! ギターがうまいところを見せたいんだ”っていう気持ちが出てきた時の僕さ」とメイヤー。「この曲では2本のギター演奏がほとんどずっと続く。すると途中で集中力が途絶え、感性だけが残る。グレイトフル・デッドのいろんな曲から学んできたことがここで少し生かされた。僕にギターアンサンブルの世界を見せてくれたのはデッドだからね」



この曲には、ヴァースの形をとった意外なサビがある。「まだ君のことが忘れられそうもない」とメイヤーは単語を区切りながらたどたどしく歌う。「CDの音飛びのようにも聞こえる繰り返しで、聴き手の注意を引くというアイデアだ。本当に新しいタイプのサビだ」。

この曲のグルーヴがどのようにできたか、メイヤーはこう語っている。「小さいグルーヴボックスに、曲を誤って逆から取り込んだ結果、こんな風にアップビートになった。絶えず楽しませてくれるリズミカルなビートだ」。『ムーヴィング・オン・アンド・ゲッティング・オーヴァー』も他の曲同様に別れから着想を得ているが、曲を書き終え収録を終えた時には、メイヤーの気持ちは晴れていたという。「最後は救われた。もし1年前にこの曲を作らなければならなかったら、こんなエンディングにはならなかっただろう。曲の最後は、僕が2年後に当時を振り返ってこう言うんだ。“もう前に進んだ。だからハッピーエンドだ”」。

『チェンジング』


キャピトル・スタジオでの制作に入り数カ月が経った2014年12月、『チェンジング』の鍵になるメロディーがメイヤーの元に不意に降りてきた。「あの部屋に座っていたんだ」とメインスタジオに隣接する小スペースの一つを指さした。「何かを探し当てようとしていた。そして僕はいつの間にか歌い始めていた。“僕はまだ変化の途上にある。変化しながら走っている。僕は老いているかもしれない。若いかもしれない。でも僕はまだ変化の途上にある”。30秒の長さだった。単調な音の繰り返しで、“これは一体どうやってできたんだ?”と思った。最初からよくまとまっていて、歌が循環するようになっていたからね。シンプルに聞えるが(メロディーが出てくるまで)時間がかかった」。メイヤーはこの曲を、「アルバムの精神的な要」と呼んでいる。

Translation by Yoko Nagasaka

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