受動喫煙対策に飲食団体が難色示す:目指すべきは「分煙先進国」

By RollingStone Japan 編集部
ニューヨークの喫煙者たち。cdrin / Shutterstock, Inc.
飲食店などの業界団体は、飲食・宿泊などのサービス業施設の「原則建物内禁煙」を進める受動喫煙防止対策の強化案に異論を唱え、「分煙先進国・日本を作っていきたい」と表明した。

1月某日、飲食店などの業界団体が都内で緊急集会を開き、厚生労働省が検討している受動喫煙防止対策の強化案に対する各団体の意見を表明した。

受動喫煙防止対策の強化案とは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向け、受動喫煙(他人のたばこの煙を吸うこと)の対策を強化する案。たたき台には、未成年者や患者らが主に利用する学校や医療機関は敷地内での喫煙を禁止する「敷地内禁煙」、官公庁、社会福祉施設、運動施設、大学等は建物内での喫煙を禁止する「建物内禁煙」、利用者が自由に選ぶことができる飲食店やホテルなどのサービス業施設などは、「原則建物内禁煙」として建物内の喫煙室の設置を認める、と記されている。

全国生活衛生同業組合中央会の大森利夫氏は、「受動喫煙の対策は進めなくてはいけない」と同案に対する理解を示しながら、「多数の飲食店から廃業に追い込まれるという声が寄せられている。このままでは一億総活躍社会の実現は難しい」と訴え、「マルチな考えが必要。分煙先進国・日本を作っていきたい」と述べた。

上記のように、「原則建物内禁煙」がもたらす地方の飲食店や零細企業への影響は計り知れず、経営圧迫は免れないという意見が相次いでいる。喫茶店やスナックは「顧客の大半が喫煙者という場合も少なくない」うえ、個人経営の場合、喫煙室を設置する資金やスペースの捻出も難しい。また、禁煙にすることによる客離れも懸念されている。

大手チェーンが加盟する日本フードサービス協会の菊地唯夫会長も、「お客様の選択肢がほとんどない学校・官公庁・医療機関と、お客様の選択肢がある飲食店を含むサービス業などの施設に、同一性の高い規制を当てはめるのはどうなのか」と指摘し、「外食産業の多様性と健康を両立できる方法を探りたい」と語った。

同案に対しては、宮城、徳島、鹿児島の県議会からも、飲食・宿泊業者に対する配慮を求める意見書が提出されている。集会に出席した石破守衆議院議員は、同案の施行が決まれば「全国で4000〜5000億円のマイナス経済効果が生まれる。一方で、その分健康になるからいいじゃないかという意見もある。どうすれば人に迷惑をかけることなく、喫煙者と非喫煙者、それぞれの楽しみや価値観が実現できるか、知恵の出しどころ」と、今後の建設的な議論を要望した。
Text by Sahoko Yamazaki (RSJ)

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