阿部 寛が映画の中に見つけた"やさしさ"とは?:映画『恋妻家宮本(こいさいかみやもと)』

By Keiichiro Oshima
(C) 2017「恋妻家宮本」製作委員会

―今回は教師役ですが、阿部さんのなかで印象に残っている教師はいますか?

人気のある先生がいい先生じゃないよね。ただ。惹きつけるのが上手いだけの話。大人になってからわかるんだけど、"ああ、あの先生、不器用だったな"っていうような、人気はなくても一生懸命見ていてくれた人のほうが、いま思い出すといい先生だと感じますよ。教師に不向きなんだろうなって先生のほうが、実際にいい先生なんだと思う。中学生の時、僕は結構ナイーブで、ちょっと心が荒れていた時期があったんですよ。そうしたらある先生がそれを感じてくれて、すごい心配して"どうしたんだ!"って俺の前で泣いたんだよね。それが印象に残っていますね。"この先生、本気で心配してくれたんだ"と思った。小学校の時もそうだった。塀の上を歩いたりとかあぶないことをやっていたんです。そしたら50歳か60歳近い先生が見ていて"何やってんだ!"って、顔を真っ赤にして叩いたんです。涙を流しながら怒られたんですよ。"あの先生は本気だった"って子供ながらに思いましたね。先生の涙ってインパクトがすごく強くて覚えているんだよね。本当に自分のことを考えてくれているかどうか、子供はそこを見抜いていると思いますね。


(C) 2017「恋妻家宮本」製作委員会

―"正しさより、やさしさを"という台詞に胸をつかれたそうですが、その台詞を語る時はどうでした?

いい台詞だな、いい言葉だなと思いましたね。ああ、そうかと。いつの間にか正しさって押しつけてしまう、人ってそういうもんだと思うんですよね。その大きなものが戦争だったりするわけじゃないですか。誰に対してもそうだし、仕事に対してもそう、人間はついつい正しいことを押しつける。でも、それをやさしさに変換したらどうなるのかな、と考えさせられました。だから、10行ぐらいの台詞の中のひと言だけど、これは強くていい台詞だなと思いましたね。

RECOMMENDED

TREND