仲井戸"CHABO"麗市、ストーンズ『ブルー&ロンサム』を全曲解説

By Nakaido "CHABO" Reichi 2017/月号 P36〜37 |
仲井戸"CHABO"麗市が、ストーンズ『ブルー&ロンサム』を全曲解説
仲井戸"CHABO"麗市が、ザ・ローリング・ストーンズのニューアルバム『ブルー&ロンサム』を全曲解説する。

このアルバムを聴いて一番驚いたのは、リトル・ウォルターが4曲もあること。"うわ!"と思った。そんなに好きだったのかと。今回、ギターよりハーモニカがすごいじゃない。それはもう、間違いなくリトル・ウォルターとかの影響なんだろうな。キースももちろん好きだから4曲もカヴァーしたんだろうけど。今回の作品に関して、俺の見解としては、無邪気に「ブルーズのアルバム、いよいよやってみようか」という感じだったんだと思う。エリック(・クラプトン)もかつて作っているけど、ミックとキースもいつかやりたいと思っていて、それが今年だったという。

レコーディングも彼ら自身が一番楽しんだんじゃないかな。選曲からも楽しんでやっていたのが想像できる。2016年にこうやってストーンズが集まってはじけてくれたというのは、すごくうれしいよね。もしかしたらすぐに続編を出してくれるかもしれない、と期待しちゃう(笑)。このタイミングで初心というかブルーズ小僧に戻ったというのも、ストーンズの中で何かものすごく大きなものがあったんじゃないかな。

今回エリックが2曲参加しているのもすごくよくて。たまたま隣のスタジオにいて飛び入り参加したらしいんだけど、彼が入ったことでアルバムのバランスがとてもよくなっていると思う。少しポエムな言い方をすれば、ストーンズもエリックもお互いに遥かなキャリアを生きぬいてきて、今も現役でやっている、いわば同胞みたいなもので。そういう人たちが一緒に愛すべきブルーズをセッションしているということ自体、素敵なことだよね。

こないだマコちゃん(鮎川 誠)と会った時、彼も全部調べてたけど演奏に関しては1、2曲を除いてどの曲もオリジナルとキーとテンポが一緒。それに音もすごくて、オヤジが居酒屋で酒飲みながら「ブルーズやろうぜ」っていう音じゃないんだよ(笑)。これは若い子が聴いてもいい音だと思うんじゃないかな。俺たちの世代が昔を懐かしむためだけのレベルの音じゃない。やっぱストーンズってとんでもねーなって。

M1. ジャスト・ユア・フール
 (オリジナル:1960年 リトル・ウォルター)

1曲目ってポイントを置くものだから、「1曲目はリトル・ウォルターのこれで」という狙いがあったかもね。リトル・ウォルターと言うと、普通は『ジューク』とか『メロウ・ダウン・イージー』あたりがベスト盤に入るようなお馴染みの曲なんだけど、ミックとキースのこういう選曲のセンス、マニアにはたまらないよね。

M2. コミット・ア・クライム
(オリジナル:1966 年 ハウリン・ウルフ)

ハウリン・ウルフは当然やるとは思っていたけど、これもベスト盤にはまあ入らない曲。こんなの選ぶんだ、と思ったし。やっぱりすごくよく知ってるなぁって。本当にブルーズ小僧だったんだね。で、これもオリジナルに忠実なんだけど、イントロにものすごくストーンズっぽさがある。逆に言えば、ストーンズはハウリン・ウルフなんかを学びまくって見事なオリジナル曲を作ったんだなとかね。それと、この曲を聴いた時、別にミックはハウリン・ウルフを真似ているわけではない、彼の50年近いキャリアが培ったオリジナルのブルーズ・ヴォーカルなんだと思った。少年時代からキースとつるんで聴きまくって、全身にスピリットが染み込んでいるミックが2016年に歌った自分のブルーズといったタッチね。

M3. ブルー・アンド・ロンサム
(オリジナル:1959年 リトル・ウォルター)

これもびっくりした。リトル・ウォルターの中でも特に重い曲だからね。さらにこの曲、今回のアルバムタイトルにもなってるもんね。もしかしたら、この曲がこのアルバムを作ったことのスピリットを表しているのかもしれないし、リトル・ウォルターへの敬意もあるかもしれない。本当のところはどうなのか、2人に聞いてみたいね。まぁとにかく好きな曲なんだろうな(笑)。

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