TAKUROが語る、"胸の内の炎を音にした"ソロアルバム制作への思い

By Joe Yokomizo 2017/月号 P54〜59 |
Photograph by Yoshika Horita
GLAYでのデビューから22年にして、TAKUROが遂にソロアルバム『Journey without a map』をリリースする。メロディアスなギターを想像したが、良い意味でその想像は裏切られた。内容は、ジャズ、ブルースのギター・アルバムだが、TAKURO曰く、胸の内の炎を音にしたという。このアルバムを作るまでの胸の内を語ってもらった。

―ソロアルバムの制作はいつ頃から考えていたんですか?

アルバムを出すことまですぐに考えていたわけではなかったんですが、きっかけは40歳の誕生日かな。それまで誕生日というと普通にお祝いしてもらうことが多かったんですが、何の恩返しもできないから40歳の誕生日以降"俺の誕生日だからちょっと遊びに来て"とみんなを招いて、ギターのインスト、ジャズやブルースを中心とした自分主催の演奏会をやるようになったんです。最初はカバーが多かったんですけど、自分で作った曲もたまにやるようになっていって......。今回のソロアルバムは、その延長とも言えますね。

―なぜジャズやブルースを?

もともと一人でやるならこういう音楽をやりたいと思っていたんです。GLAYという本体があって、そこで仲間とやるのは本当に幸せなことだし、楽しいんです。だけどその反面、それこそレス・ポールさん(ギブソン・レスポールの生みの親であるギタリスト)のように、NYのクラブで毎週のように、80歳になろうともできるような音楽がやりたいと思っていて、そうした自分の将来の夢に向かって少し準備をしておきたいという想いがあって。自分の心と直結するような音楽を作り、幾つになっても弾いていられるギタリストでありたい。その準備も、40歳から始めたんです。

―GLAYの場合は歌ものですし、ライヴで大勢で歌ったりすることを想定した曲作りでもありますよね。歌、言葉が外れてギターだけとなると、自由であり不自由でもあったと思うのですが?

坂本龍一さんが、10年以上前に『メリー・クリスマス ミスターローレンス』(『戦場のメリークリスマス』のテーマ)を弾く時に、どうしても変な音にいきたくなるんだけど、みんなが知ってるものとは違うものになるから自分を抑えるんだっていうことを言っていたんです。当時は意味がわからなかったんですが、近年わかるようになってきて。"みんなが知ってるメロディ"っていうものに対する重圧っていうのかな。HISASHIともよく話すけど、みんなが好きでいてくれる僕らのヒット曲のメロディをなぞる、あるいはギターソロを忠実に再現していくことをHISASHIは忠実に引き受けようとしている。だけど、俺は"この8小節はオレのもので、好きにやってもいいじゃない?サビのメロディは一緒なんだから"っていう想いがあって。そういう葛藤がずっとあったんです。ポップミュージックの昔からある定石みたいなものを最大限に活かしてGLAYは成功したんだろうけれど、音楽ってそれだけではないから。


Photograph by Yoshika Horita

―はい。

で、今年の2月に『Journey without a map』っていうテーマで、"与えられた時間であれば好きなだけ弾いていいんじゃない?"っていうのに賛同してくれるミュージシャンを集めて、実験的に8本ぐらいツアーをやったんです。このアルバムのリリース前だから、もちろんみんな曲も知らない。でも、考えてみたらヒット曲とか有名曲とかにとらわれるのって、エンタテインメントとしては音楽だけですよね。映画や推理小説は、結末を知りながら観たり読んだりしない。なので、TAKUROというくくりの中で来ていただいて、その結末はみんなで作るのはどうですか?っていうものがやりたかったんです。それは『Journey without a map』(地図のない旅)というタイトル通り、人生と重なるんだよね。先はどうなるかわからない......そういうテーマも、このアルバムを作るきっかけになっていますね。しかも、GLAYを大事にすればするほど、そういう未知なるものや逸脱したものへの想いが強くなっていったんです。

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