なぜニューヨーク・ニックスはポルジンギスだけではダメなのか?

By Steve McPherson
2016年12月13日のフェニックス・サンズ戦の後半にベンチに座るニューヨーク・ニックスのカーメロ・アンソニー(アリゾナ州フェニックス) (Photo by Christian Petersen/Getty Images)
ファンタジーの世界では、名選手を集めればチームは強くなる。しかし現実はそんなファンタジーとは程遠い。選手を育てる気が全くないニックスは同じ過ちを犯し続けるのか?

NBAチームの組織戦略というのはどのチームにおいても基本的に共通している。バスケットボールというスポーツにおいては、スーパースターの活躍が勝利にとって一番重要ともいえる要素であり、チームのエースあるいは主力3選手がチームのアイデンティティに与える影響は絶大だ。それゆえ野球やフットボールに比べて、選手の個性がチーム作りを左右する度合いはかなり大きなものとなる。

サンアントニオ・スパーズは、高尚で静かなるリーダー(ティム・ダンカン、カワイ・レナード)の周囲を、もともと目立つタイプではないもののチーム戦略の中で開花したバイプレーヤーたち(ダニー・グリーン、ボリス・ディアウ、マルコ・ベリネッリ、コーリー・ジョセフ)で固めるというのが伝統的なチームカラーだ。ロサンゼルス・レイカーズの場合は、まずビッグネームをチームの中心に据え(シャキール・オニール、ドワイト・ハワード)、そしてハリウッドの魅力と(昨年まで長きに渡って)コービー・ブライアントの宇宙人並のスキルが脇役たちを引き寄せていた。スター・システムがこのチームの仕来りである。サクラメント・キングスは・・・まぁ、ここ10年ほどは、イロモノたちを可能な限り集めたサーカス団といった趣だろうか。

細かいチーム哲学の違いはあるにしても、継続的な成功を収めるチームというのはたいてい有力選手を1人か2人獲得し、そしてその選手にフィットする脇役たちを集めるという方法をとっているといえる。例えば、ゴールデンステイト・ウォリアーズはまずトレードでモンタ・エリスを放出してのアンドリュー・ボーガットを獲得し、ステフ・カリーと再契約(今となってはかなりお得な契約だったといえる)した。そして彼らを中心にチームを作っていった。いつでもそのようなやり方がうまく行くとも限らないが(デビッド・ブラットのキャブスがいい例だ)、クリーブランド・キャバリアーズへの再加入後のレブロンが成功しているのも、チームがレブロンにフィットする人材を獲得してきた結果である。まだ再建計画の結果は出ていないが、"負けるためにプレイしている"とまで言われたフィラデルフィア・76ersのでさえ、ジョエル・エンビードの成功により将来の希望が見えてきているのだ。勝つチームとは、ベストプレイヤーを最大限に活かすためにチーム作りを行うチームなのである。

そこに来ると、ニューヨーク・ニックスは如何ともし難い。

ここ十数年のニックスの補強は、"より強く"と言いながら、どうやったらそうなれるのかを全く示さないトランプ主義者のようだ。「建て直すな、模様替えせよ」というニックスの精神は、ドラフトを通して戦略的に再建するというNBAでの成功原則に逆行するものだ。過去30年以上において、ニックスはほぼ2年に1度のペースでのドラフト1巡目指名権をトレードで売り渡している。しかも1994年にドラフト1巡目指名したチャーリー・ワード以降、ドラフト1巡目で指名した選手と再契約したケースはデビッド・リーの時のただ1度だけである。そしてそのリーにしても、最初の再契約後1年プレイした後にトレードに出されているのだ。昨年のドラフト1巡目指名のクリスタプス・ポルジンギスはどうかというと、新星と呼ぶにふさわしい活躍を見せている。ちなみに彼は、1987年ドラフトで加入のマーク・ジャクソン以来、ニックスのルーキーとしては最も長いプレイタイムを記録している。彼については後述する。

『ザ・ワイヤー』のランズマン部長のセリフ風に言えば、ニックスは「若い才能を軽々と放出しているのではない。力いっぱい追い出している」のだ。
Translation by Yu Sekine

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