UFCファイター・オブ・ザ・イヤーは、マイケル・ビスピン

By Mike Bohn
Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images
ローリングストーン誌選定の「2016年ファイター・オブ・ザ・イヤー」は、マイケル・ビスピン。彼の山頂への旅路は間違いなく、過去のどのUFCのタイトルホルダーよりも波瀾万丈だった。そんなファイターの軌跡を振り返る。

UFC選手権者という肩書きが、マイケル・ビスピンの名前の上に付くことになるとは、多くの人が思いもしなかったことだろう。彼自身でさえ、内心では無理かもしれないと思っていたことを認めている。しかし、それが今では、UFC世界ミドル級の選手権者に君臨しているのは、ビスピンなのである。

ビスピンの山頂への旅路は間違いなく、過去のどのUFCのタイトルホルダーよりも波瀾万丈だった。そのことが、ビスピンがローリングストーン誌選定の2016年ファイター・オブ・ザ・イヤーに輝いた理由の1つである。

ビスピンはUFC登録選手の中でも、もっともキャリアの長い選手である。デビューはリアリティ・ショー『ジ・アルティメット・ファイター』のシーズン3で優勝した後の2006年6月のこと。それ以来、ビスピンは輝かしい栄光と、忘れてしまいたい挫折のジェットコースターのようなキャリアを歩んできた。さまざまなアップ・ダウンを経て、ビスピンはスポーツの頂点に届くことのない、賛否両論のキャラクターのトップファイターとして、自身のキャリアを終えていく運命にあるかに思われた。そして2016年がやってきて、UFCでの10年目が、終わってみれば彼にとって最良の1年となったのだ。

輝かしい年月をすごしたMMAファイターはたくさんいるが、ビスピンほどいろいろなバックストーリーを伴いつつ、繰り返し逆境を克服してきた選手はいない。そして、常に前回よりも一段高みに到達し、前回よりも偉大な実績をあげてきた。2016年の手始めにビスピンが展開したのは、ほぼ10年にわたって希望してきた試合の実現に向けた自己アピールだった。そして彼はついに元UFC王者、アンデウソン・シウヴァとの夢の一戦にたどり着いたのである。シウヴァはMMA史上のパウンド・フォー・パウンド(体重を同じであると仮定した最強選手の称号)ファイターとして衆目が一致する名選手で、今ビスピンが保有しているベルトを2.457日間にわたって防衛、これはUFCタイトルの最長保持記録となっている。

ビスピンの地元、イギリス・ロンドンのO2アリーナで行われた2月28日(米国時間)の試合に臨んだシウヴァは、確かにやや全盛期はすぎていた。とはいえ、"ザ・スパイダー"ことシウヴァは常に危険な存在だ。ビスピンが長年希望しながら、シウヴァがチャンピオンであった頃には、ビスピンは挑戦者にすらなれなかったこの試合、事前の掛け率は、大差でシウヴァのフェイバリット(勝ちの予想)となっていた。

そんな試合がようやく実現してみると、結果は今年もっとも忘れ難い5ラウンドにわたる熱戦となった。ビスピンはシウヴァに血まみれにされ、何度もノックアウト寸前まで追い込まれながらも、諦めることなく25分間にわたって優勢を保った。コンディショニングの良さと打撃の手数の多さにより、ビスピンはユナニマス判定勝ちを獲得、その時点でビスピンのキャリア上で最重要の勝利を飾ったのである。



「アンデウソン・シウヴァのことは最上級に尊敬している」と試合後のビスピンは語っている。「彼は史上最高のファイターだ。だから僕にとって、これは個人的な挑戦だったんだ。僕のキャリアにとって、断然最大の勝利だ」
Translation by Tetsuya Takahashi

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