1970年代初期を代表する20曲

ホット・バター 『ポップコーン』(1972年)
(原題:Popcorn)


電子楽器をメインとしたポップ・ミュージックにおける世界初のヒット曲で、作曲者はガーション・キングスレイ。人工的な音源による未来のフラクタル宇宙の核を表現している。ドイツ系アメリカ人作曲家のキングスレイは、バッハの即興曲を弾きながらメロディーのアイディアを思いつき、1969年のアルバム『ミュージック・トゥ・モーグ・バイ(原題:Music to Moog By)』に収録した。「『ポップコーン』の“ポップ”は“ポップ・ミュージック”を、“コーン”は“駄作”を意味する」と、キングスレイは後に語っている。耳に残る印象的な彼の作品は、1972年にホット・バターのカヴァー・バージョンがリリースされるまで日の目を見なかった。このバージョンにはファースト・モーグ・カルテットのスタン・フリーも参加していた。ホット・バター・バージョンはまずパリのディスコでブレイクし、その後エイフェックス・ツイン、ミューズ、クレイジー・フロッグなど多くのアーティストにカヴァーされている。

マーヴィン・ゲイ 『レッツ・ゲット・イット・オン』(1973年)
(原題:Let’s Get It On)


『ホワッツ・ゴーイン・オン』は政治的意識を高める賛歌となり、R&B作家としてのマーヴィン・ゲイのキャリアを新たなステージへと導いた。一方でこのセクシーな戯れの曲は全く違ったアプローチで、「ホットなセックスは“すべての人”が必要としている」と宣言している。70年代はとにかくエロチックな時代で、誘惑の芸術性を追求する者など誰もおらず、マーヴィン・ゲイのように多様なユーモアのセンスと快楽主義に傾倒していた。

ザ・スイート 『ロックン・ロールに恋狂い』(1973年)
(原題:The Ballroom Blitz)


プレハブ・ポップからパンク・ロックの先駆者となったザ・スイートは、キャッチーなグラム・ロックでピークを迎えた。1973年1月にスコットランドのキルマーノックで行ったギグの最中、オーディエンスからボトルを投げつけられるという厳しい思い出を、何となく感動的なストーリーに仕立てている。曲は、このブリティッシュ・ビート・グループのお気に入りであるボビー・カムストックの『レッツ・ストンプ(原題:Let’s Stomp)』(1963年)にインスパイアされたことは間違いない。『ロックン・ロールに恋狂い』は、本国イギリスでのヒットから2年遅れの1975年、アメリカに上陸。ラモーンズが、1976年に同じくキャッチーで攻撃的な曲『電撃バップ(原題:Blitzkrieg Bop)』でデヴューする土壌を作った。

Translation by Smokva Tokyo

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