ドイツ女性監督が描いた"獣と愛を交歓する女":『ワイルド わたしの中の獣』

監督:ニコレッテ・クレビッツ | 出演:リリト・シュタンゲンベルク、ゲオルク・フリードリヒ、サスキア・ローゼンダールほか / 配給:ファインフィルムズ
By RollingStone Japan 編集部
(C) 2014 Heimatfilm GmbH + Co KG
野獣と愛を交わす女―そういった言葉だけを聞けば、どれほどの禁忌を犯した作品かと思う。だが映画『ワイルド わたしの中の獣』を観ていると、それが本当に禁忌なのかさえ、怪しくなってくる。


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物語の主人公となるのは、職場と自宅を往復するだけのさえない毎日を過ごしていたアニア。ある日、自宅マンションの前に広がる森で狼を見かけた彼女は、その野生的な姿に心を奪われる。狼のためにスーパーマーケットで買った食肉を吊るし、ペットショップで手に入れたうさぎを放ち、ついには罠をしかけるアニア。ようやく捕えた狼を自分のマンションに連れ込んだ彼女は、最初こそ恐れおののきつつも、次第に狼と心を通わせていく。そしてついに、内に秘めた欲望を解き放つのだった。

監督、脚本は映画『バンディッツ』(1993年)などで自身も女優として活動してきたニコレッテ・クレビッツ。アニア役は『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(2017年1月7日公開)にも出演のリリト・シュタンゲンベルクが扮している。


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狼と出会う前のアニアはとても"退屈"な女性だ。ただ黙々と仕事をこなし、会社の同僚との会話も早々と切り上げ、他人との交流は自身の妹をのぞくとほとんどない。大きく感情を表現することもなければ、日常に強い不満を抱いているそぶりもない。しかしそんな彼女は、狼と出会ったことをきっかけに、どんどん自分を解き放っていく。抑えつけたものが大きければ大きいほど、殻が破れた時の反動も大きくなる(それは園 子温の『恋の罪』を観ていてもわかる)。歯止めがきかなくなった彼女は、人間どころか獣を愛の対象にするところまで行ってしまう。
Text by Shinjiro Fujita (RSJ)

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