ローリングストーン誌が選ぶ、2016年の映画ベスト20

By Peter Travers
ローリングストーン誌が選ぶ、2016年の映画ベスト20

9. Hell or High Water(原題)

デヴィッド・マッケンジー監督によるこのモダン・ウェスタンは特に斬新なことをしているわけではないが、やるべきことをすべて正しくやっている。クリス・パインとベン・フォスター演じる西テキサスの兄弟が、ジェフ・ブリッジス演じる警察官と対決する。ブリッジスは、この映画でも陰険で老いた変わり者を見事に演じている。B級映画だが、作品として荒々しい芸術のレベルに達している。

8. Loving(原題)

ジョエル・エドガートンとルース・ネッガが、リチャード・ラビングとミルドレッド・ラビング夫妻を好演している。ラビング夫妻は、異人種間の結婚により、1958年にバージニア州で逮捕されてしまう。同夫妻の法廷闘争は公民権運動において画期的な出来事となった。アーカンソー州出身の若き監督、ジェフ・ニコラスは、今回の作品のように感情を掻き立てる映画を撮り続けていけば、やがてイーストウッドとスコセッシに並ぶ名監督に成長するかもしれない。

7. ハドソン川の奇跡(原題: Sully)

一流の真の映画作りに徹するクリント・イーストウッドは、この作品でチェズレイ・サレンバーガー機長役に控え目な演技で定評のあるトム・ハンクスを抜擢した。トム演じるサレンバーガー機長は、故障した飛行機をハドソン川に不時着させ、大勢の人々の命を救った英雄だ。 サレンバーガー機長、そして、この作品はともに称賛に値する。

6. ジャッキー/ファーストレディー 最後の使命(原題: Jackie)

ジャッキー・ケネディーは、その一挙手一投足がメディアに取り上げられており、もう取り上げるネタがないように思えるかもしれない。しかし、JFK暗殺後の大統領夫人にクローズアップした『ジャッキー/ファーストレディー 最後の使命』を観ると、実はジャッキー・ケネディーのことを何も知らなかったことに気づく。チリ出身のパブロ・ラライン監督のインスピレーション溢れるビジョンと大統領夫人を見事に演じたナタリー・ポートマンにも同じことが言える。

5. 沈黙–サイレンス-(原題: Silence)

このマーティン・スコセッシ監督渾身のプロジェクト(90年から制作)は、指南役の宣教師(リーアム・ニーソン)を探して17世紀の日本に向かい、拷問と死の危険を背負いながらもキリスト教の布教活動を行う2人のポルトガル人のイエズス会士(アンドリュー・ガーフィールドとアダム・ドライバー)を追っている。スコセッシ監督は信仰の問題、そして、物が溢れる社会でのその意味と長い間真剣に向き合ってきた。『沈黙–サイレンス-』は残忍であり、また、知性に訴えかける映画でもある。2時間半にわたって道徳的な曖昧さと格闘することにしり込みしたくなる人もいるかもしれない。誰もそんなことはしたくはないはずだ。しかし、スコセッシが作り上げたこの作品は、強烈に刺激的で、情熱的である。
Translation by Kensaku Onishi

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