ローリングストーン誌が選ぶ、2016年の映画ベスト20

By Peter Travers
ローリングストーン誌が選ぶ、2016年の映画ベスト20

14. エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に(原題: Everybody Wants Some!!)

リチャード・リンクレーター監督は、『バッド・チューニング』、『6才のボクが、大人になるまで』、そして、『ビフォア』三部作に至るまで、控え目ではあるものの、決して記憶から消えることのない作品を撮る。この作品では、リンクレーター監督は、1980年に小さなテキサスの大学の野球部に入部する男子生徒の生活を疑似体験させてくれる。彼らは音楽を聴き、マリファナを吸い、セックスに燃える―なぜか初めて自由を味わったときの爽快な気分を思い出させてくれる。

13. Paterson(原題)

余計なものを一切省いたこの魅力的な作品は、嬉しいことにTHE ジャームッシュ的な雰囲気に満ちている。ジャームッシュ監督はこの映画で、ニュージャージー州のパターソンに住むバスの運転士、そして、詩人でもあるパターソンという名の男を取り上げている。少し気取り過ぎている気がするかもしれないが、心配ご無用。この主人公を演じるのは名優、アダム・ドライバーだ。イラン人の妻(ロック歌手のゴルシフテ・ファラハニ)と暮らし、毎日の出会いを、日常の不思議な出来事に幸せを見出す詩にする主人公にジャームッシュが込めるニュアンスをドライバーは注意深く演じている。これこそジャームッシュの真骨頂であり、-観る者を魅了してやまない。

12. Love and Friendship(原題)

5月に公開されたためか、ジェーン・オースティンの1794年の小説をエレガントに棘のある解釈をしたウィット・スティルマン監督のこの作品は、年末の表彰シーズンで忘れられた存在になっている。目を覚ましてほしい。男性社会で独立するために、セックス、盗み、裏切りと、何でもござれの未亡人を演じたケイト・ベッキンセイルの迫真の演技は、2016年でベストの一つに数えられる。また、アカデミー賞の投票者には、豆、そして、「12の掟」について下らない知識をひけらかす、おバカな貴族を演じるトム・ベネットの最高峰のユーモアも忘れないでもらいたいものだ。

11. ヘイル、シーザー!(原題: Hail, Caesar!)

笑いと精神的な恐怖が入り混じった、このコーエン兄弟のコメディー作品に対する私の熱意は、うまく言葉では伝わらないかもしれない。複雑すぎて何と言えばいいのか分からない。基本的には、スタジオに出入りする何でも屋が、変人の主演俳優(ジョージ・クルーニー)、妊娠中の泳ぐディーヴァ(スカーレット・ヨハンソン)、騒動を巻き起こす共産主義者(チャニング・テイタムの演技は完璧としか言いようがない)、そして、イギリス人の口うるさい監督(レイフ・ファインズ)の命令で知的な役柄を演じることになった南部訛りのカウボーイ(アルデン・エーレンライク、こちらも文句のつけようがない演技であった)の対応に追われる1日を描いた作品だ。実に愛おしい作品である。

10. バース・オブ・ネイション(原題: The Birth of a Nation)

2016年に公開された作品において、非常に残念でならないことの一つが、ナット・ターナー(ネイト・パーカーが見事に演じている)が率いた1831年の奴隷による反乱を扇情的に伝えたパーカー監督の手腕が、99年にペンシルベニア州立大学でパーカー本人が起こした当時18歳の女性への暴行に関する問題で、かき消されてしまったことだ。この件に関しては、法廷から無罪の判決を言い渡されている。しかし、粗削りでありながら、素晴らしいこの映画は、世論の影響により、本来ならば大勢のオーディエンスに観てもらいたい作品だが、それは叶わなかった。
Translation by Kensaku Onishi

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