ローリングストーン誌が選ぶ、2016年の映画ベスト20

By Peter Travers
ローリングストーン誌が選ぶ、2016年の映画ベスト20

19位 13th―憲法修正第13条―(原題: 13th)

2016年は、『O.J.: Made in America(原題)』、『 Weiner(原題)』、『 Tower(原題)』、『 Cameraperson(原題)』、『I Am Not Your Negro(原題)』を含むパワー溢れるドキュメンタリー作品の公開が相次いだ。しかし、個人的に最も強烈だったのは、建前ではアメリカでの人種間の平等を保障し、奴隷を違法とする1865年に制定された憲法修正第13条を扇動的に捉えたエイヴァ・デュヴァーネイの作品だ。涙なしには見られない映画だ。

18. Toni Erdmann(原題)

『Elle(原題)』、『ジュリエッタ(原題: )Julieta』、そして、『 The Handmaiden(原題)』には申し訳ないが、 2016年の外国語映画の中で最も優れ、最も素晴らしかった作品は、才能豊かなドイツ人の脚本家兼監督のマーレン・アーデ監督による、この爆笑必至のコメディーだ。ペーター・シモニスチェクとサンドラ・フラーが、それぞれ、離婚したピアノ講師とビジネスの手腕に長けた野心的な娘を好演している。この父娘は、憂鬱、そして、お互いへの反感を持ちながらも距離を縮めていく。先ほども申し上げた通り、これはコメディー作品だ。笑い過ぎて呼吸困難になってしまいそうなほど楽しい作品である。

17. The Edge of Seventeen(原題)

ケリー・フレモン・クレイグ監督のこのデビュー作は、興行面ではパッとしなかった。つまり、2016年公開の作品の中で最も面白い、究極のおバカ映画を見逃している人が多いということだ。『トゥルー・グリット』で既にオスカーにノミネートされた実績を持つヘイリー・スタインフェルドは、この作品で激情型で熱しやすいナディーンという面倒臭い少女を演じている。ヘイリー演じるこの怒りっぽいティーンは、―一切悪口を許さない教師(怪優ウディ・ハレルソン)をのぞく周りの人達をとにかく罵倒する。クレイグ監督とスタインフェルドのコンビにより、よくある青春映画ではまったく歯が立たない作品に仕上がっている。この映画はきっと宝物になるはずだ。自分自身を映画の登場人物と重ね合わせてみよう。 

16. De Palma(原題)

『De Palma』は、ノア・バームバック監督とジェイク・パルトロー監督の二人が、けんか腰で、言いたいことを言う映画監督のブライアン・デ・パルマを迎え、自由に討論する作品であり、純粋な映画とは言えないかもしれない。長いキャリアを誇るデ・パルマ監督の優秀な作品(『キャリー』、『スカーフェイス』、『殺しのドレス』、『ミッドナイトクロス』)と失敗作(『虚栄のかがり火』、『フューリー』、『ミッション・トゥ・マーズ』)から選りすぐりのシーンを集めており、デ・パルマの往年のファン、および、初心者にとって、粗削りではあるものの役に立つ教科書的な映画と言えるだろう。

15. メッセージ(原題: Arrival)

『メッセージ』を観ていて、エイミー・アダムスとエイリアンの接近によって、世界が破滅するのではなく、コミュニケーションがフィーチャーされる展開に落胆しただろうか?残念ながら、何て慰めていいのか私には分からない。それでも、ドゥニ・ビルヌーブ監督が採用した思慮深いトーン、そして、次々に期待を裏切る役割を全力で演じ切ったエイミー・アダムスの頑張りにより、映画館を出た後もしばらくは余韻が残る映画に仕上がっている。
Translation by Kensaku Onishi

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