全文掲載|ボブ・ディランのノーベル文学賞の受賞スピーチ

By ANDY GREENE
“とても名誉ある賞”であるノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランは、授賞式後の晩餐会向けにメッセージを寄せた(Photo by Michael Kovac/WireImage)
ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランは、授賞式後の晩餐会向けにメッセージを寄せた。「キップリング、ショー、トーマス・マン、パール・バック、アルベール・カミュ、ヘミングウェイなどの偉大な人々と共に名を連ねることは、言葉では言い表せないほど光栄なことです」。

2016年10月初旬、ボブ・ディランにノーベル文学賞が授与されるというニュースが流れた時、その異例とも言うべき決定に最も驚いたのはディラン自身だっただろう。

ディランが受賞すれば1993年以来のアメリカ人受賞者となるノーベル文学賞は「誰か別の人間に授与すべき」と、ゲイリー・シュタインガートやジェイソン・ピンターら何人かの作家から反対の声が上がった一方で、スティーヴン・キングやジョナサン・レセムをはじめ多くの人々からは、「素晴らしい決定」として祝福の声が寄せられた。受賞決定後、何週間もディラン側は沈黙を続けた。ノーベル委員会は「ディラン側の誰からも折り返しの電話がない」とメディアに語った。ノーベル委員会のペル・ヴェストベリイも「(もしこのまま沈黙を貫くとしたら)それは無礼で傲慢な態度だ」とコメントしていた。

10月29日、ディランのアート展覧会に関連してデイリー・テレグラフ紙のインタヴューを受けた彼は、ついに沈黙を破った。「信じられない。とてつもなく素晴らしい。自分が受賞するなど夢にも思わなかった」。インタヴュアーを務めたライターのエドナ・グンダーセンからの「ストックホルムでの授賞式へ出席するか」との問いに対しディランは、「もちろん。できる限り善処する」と答えた。ツアーは授賞式の数週間前に終了したため、授賞式へは出席できるはずだったし、過去数 “とても名誉ある賞”であるノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランは、授賞式後の晩餐会向けにメッセージを寄せた十年の間、出席が可能な健康状態の受賞者で出席を断った例はない。

いつものディラン流のやり方で、彼はさらに周囲の思惑をかき回した。11月16日、彼は「授賞式へは出席しない」と宣言したのだ。「昨晩、スウェーデン・アカデミーはボブ・ディラン氏から個人的な手紙を受け取りました。そこには"既に別件が入っているため、12月のストックホルムでの授賞式へ出席することはできません"と書かれていました。彼はまた、"受賞はとても光栄なことで、直接受け取りたかった"とも述べています」との内容の声明をアカデミーが発表した。

ノーベル賞受賞者には、受賞から6ヵ月以内に記念講演を行う機会が与えられる。アカデミーとしては、2017年にディラン自身がストックホルムを訪れることを期待していたが、結局ディランは授賞式向けのスピーチの代読を依頼してきた。
Translation by Smokva Tokyo

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