マジック・ジョンソン、HIV感染告白から25年

By Jason Diamond
「長生きするつもりです」と1991年11月7日、バスケットボール界のレジェンドは語った
マジック・ジョンソンは、25年前の1991年11月7日、自身がHIV陽性であり、現役を引退することを世界に発表した。

一般的に信じられているのとは対照的に、スポーツの枠を超えて世界に影響を及ぼす出来事というのはごく僅かしかない。伝説のプレーといった類のものは少なからずファンの間で語り継がれるものではあっても、本当の意味で時代の象徴となるような出来事というのは稀である。また、アスリートが世界を変えるようなことができると我々は考えがちだが、実際にはそのようなことは数少ない。

しかし"マジック"の愛称で親しまれるアーヴィン・ジョンソンが1991年11月7日、HIV陽性であることを告白したことは、その数少ない出来事のひとつといえるものだ。

歴史に名を残す偉大なプレーヤーであるジョンソンは、マイケル・ジョーダン率いるブルズに苦杯をなめたファイナルからほんの数ヵ月後、記者会見で前置きもせず、ずばり本題に入った。

「HIVウィルスに感染したため、本日付でレイカーズを退団しなければならなくなりました」。

そしてジョンソンはエイズを発症してはおらず、妻は検査の結果陰性であったと述べたうえで、「長生きするつもりです」と加えた。

80年代には多くの人々がエイズにより死亡し、90年代はじめには800万~1000万人がエイズ患者であったと考えられている。その多くは男性同士の性行為による感染だった。HIVに対し無策だった81~89年のロナルド・レーガン政権のもと、HIV感染とエイズは適切な対策予算や社会的認識がないまま拡大した。1985年の俳優ロック・ハドソン(レーガン家との交友があった時期もある)の死や、ジョンソンの会見の数週間後に死亡したクイーンのシンガー、フレディ・マーキュリーなど、いくつかの注目を浴びた感染と死亡のケースはあったものの、一般的にはHIV感染はゲイ・コミュニティの人々や、薬物使用者、そして輸血を受けた人々にほぼ限られたものだと考えられていた。

マジック・ジョンソンは、その認識は真実ではなく、誰でもHIVウィルスに感染する可能性があることを世間に示した。25年経った今日まで、ジョンソンは健在で成功も収めており、治療を受ければ感染していても生きていくことができることを身をもって示している。マジックは多くの人を死に至らしめたHIVやエイズの感染拡大を終わらせたわけではない。しかし多くの人が知っておくべきHIVの側面に、マジックは光を当てたのである。

Translation by Yu Sekine

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