ガンズのメンバーが振り返る、93年のカヴァーアルバム『スパゲッティ・インシデント?』

By CHRISTOPHER R. WEINGARTEN
93年にリリースされた『スパゲッティ・インシデント?』はガンズ・アンド・ローゼズにとってガス抜きのような役割を持っていた。(Photo by KMazur/WireImage)
全米で最もやりすぎなバンド、ガンズ・アンド・ローゼズが、93年にリリースしたパンク・カヴァーアルバム『スパゲッティ・インシデント?』を振り返る。

俺達は好きか嫌いかは関係なく、メインストリームの人間として、ある程度の曲を何とかして人々に注目してもらなくちゃいけないのさ。ーーアクセル・ローズ


ガンズ・アンド・ローゼズが駆け抜けた90年代は、一般的に語られる90年代と比べると異色であった。
パール・ジャムの『Ten』、そして、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』がリリースされたのは、それぞれ91年8月27日と同じく91年の9月24日。つまり、劇的な変化をもたらしたこの2つのアルバムは、たった4週の差でリリースされていたことになる。そして、この期間にリリースされたアルバムがもう1つある。それは、ガンズ・アンド・ローゼズの『ユーズ・ユア・イリュージョン I & Ⅱ』だ。 しかし、ガンズ・アンド・ローゼズは、この時代に誰よりも過剰な行動を3年間にわたって取り続けることを許されたのであった。このアルバムをリリースした当日、合計150分を超える楽曲と莫大な予算をかけて制作したビデオクリップを投じ、そして、好き放題の行動に出ては、騒動を巻き起こしていた。スラッシュに至っては、猛獣のピューマをフォーシーズンズホテルに連れ込んだほどだ。当時、ロック・ミュージックはリチャード・リンクレイタ監督(代表作『スクール・オブ・ロック』)好みの孤独で、粗削りを信条とする時代に進みつつあったが、ガンズ・アンド・ローゼズは『ターミネーター』のジェームズ・キャメロン監督好みのスタイルを堂々と継続し、また、実際に『ターミネーター2』とのタイアップにより万全を期していた。

93年リリースの『スパゲッティ・インシデント?』はガンズ・アンド・ローゼズにとってガス抜きのような役割を持っていた。13曲(ボーナストラックを含む)のハードロック、パンク、グラムロックのカヴァー曲で構成された変幻自在で陽気なこのアルバムは、MTVで9分を割くほど予算を持つバンドが、ほんの7年ほど前はブルースやメタルを演奏する貧乏バンドであり、ロサンゼルスで長髪をなびかせ、86年にモンキーズがスパンデックスを穿いているようなものだったことを改めて思い起こさせる。

スラッシュが述べていたように、「イリュージョンが打ち立てた記録によるプレッシャーを軽減する」ための手段として、このアルバムの制作はスタートした。ハリウッドのレコード・プラント・スタジオで『イストレンジド』や『ノーヴェンバ―・レイン』等の 8分にわたる大作をレコーディングする間を縫って、ガンズ・アンド・ローゼズは、ヴィンテージなパンクロックの楽曲の響きをジャムセッションで確かめていたのであった。実際のセッションの内容は若干曖昧ではあるものの、ザ・ストゥージズ、フィアー、ザ・ミスフィッツ、U.K.サブスのスピーディーな楽曲を盛り込むアルバムが最終的に完成した。
当時、『イリュージョン』の長丁場のセッションによって、(現在はすっかり落ち着いている)イジー・ストラドリンは、非常に辛い思いをしていたようだ。アクセルの標準時間に常に合わせなければいけなかったからだ。「『イリュージョン』 では基本的なトラックのレコーディングを約1カ月で終えたんだ」ストラドリンは、このように92年にミュージシャン誌で述べている。「その後、ヴォーカルのレコーディングが終わるまでに1年を要したのさ。その間にインディアに帰って、家を塗装しちゃったよ。バンドが集まって、みんな集中して仕事をしていれば、普通そんなに時間はかからないはずだろ。・・・ツアーでは[ローズが]セットをやっと仕上げたと思ったら、今度はなかなかステージに上がろうとしない。アイスホッケー・スタジアムの楽屋で2時間ぐらい待たされ、その間、壁を震わせるほどの「クソッタレ!早く出てきやがれ!」というオーディエンスの怒声をずっと聞かなきゃいけないんだ。シラフでいると、時間がすぎるのが遅く感じるよ。」
ストラドリンがバンドを去り、新たに加わったギタリストのギルビー・クラークは、忠実にレコーディング済みのストラドリンのパートを演奏した。「俺がイジーのパートを消したと大勢の人達が思っているみたいだね」Songfactsにクラークは語っている。「でも本当は違うんだ。イジ―はあまり演奏していなかったから、俺のパートをレコーディング済みの曲に被せただけなんだ。つまり、イジ―のパートと俺自身のパートを少しずつやった感じかな。」
Translation by Kensaku Onishi

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