非合法化から50年 LSDの今:サイケデリック・ルネサンスはLSDをどう変えたのか

By Jesse Jarnow
(Photo by mark peterson/Corbis via Getty Images)
1966年の非合法化以降、伝統的な幻覚剤はひとつのカルチャーを築いた。それが今また新たな局面を迎えようとしている。

1966年10月6日、カリフォルニア州とニューヨーク州でLSDが非合法化された日、約1000人の参加者とグレイトフル・デッドを含む3つのバンドが、サンフランシスコのパンハンドル公園内のゴールデン・ゲート・パークに集結した。「ラヴ・ページェント・ラリー」と命名されたこのイベントは、サンフランシスコのヘイト・アシュベリーを拠点としたアングラ新聞サンフランシスコ・オラクル紙の編集者たちによって企画された。同紙は「この法律に象徴される一般大衆の恐怖中毒」に反対の立場を取っていた。

LSDは、「特に後先を考えずにスリルを求める若者を中心に、社会不安を増大させている」と当時のカリフォルニア州知事エドモンド・G・ブラウンはイベントの数ヵ月前、LSD取締法に署名した際のインタビューで語っている。1938年、スイスの化学者アルバート・ホフマンによって発明されたミステリアスなドラッグは、その後メンタルヘルスの実験的研究や、40年代中盤以降の治療目的などに広く利用されるようになった。50年代にはハリウッドでファッション化し、俳優のケーリー・グラントはLSDが"二度目の青春"をもたらすと信じていた。50年代の終わり頃までに、研究室の中だけのものだったLSDは、上流階級のセラピストや軍事的実験に使用されるようになり、さらにはカウンター・カルチャーに心酔する人々のポケットに入り込んだ。1965年、LSDの製法を独学で学んだオーズリー・スタンリーはLSDの製造を始めた。LSDの製造を行っていたサンド社を始めとするメーカーはLSDの供給を中止していたが、その製法は外部に流出していた。言うまでもなくパワフルな物質で、制限なく使用すると幻覚を見たり、一時的な精神障害を引き起こしたりする。さらにひどいフラッシュバックや、染色体の損傷(これは後に反証されている)に悩まされる。

誕生から半世紀が経った今なお、LSDは米規制物質法のスケジュールIにカテゴリー分けされ、合法化を巡る議論が続いている。しかし初期の研究でも結論づけられているように、LSDはクリエイティビティの源となり得るとされてきた。LSDの出現から数十年間は、ミュージシャン、サイエンティスト、アーティスト、プログラマーなど、強烈な刺激を求める人々に利用されてきた。さらに、アンダーグラウンドのセラピーネットワークでも密かに使われ続けている。この10年間は、サイケデリック・ルネサンスと呼ばれる大麻の完全合法化へ向けたムーヴメントによりLSDもまた、表舞台の科学研究とアンダーグラウンドでの利用の両方で脚光を浴びるようになった。1966年の運命の日以降、LSDが歩んできた歴史を見てみよう。

史上最低レベルのLSD使用量

南米に自生し、伝統的な幻覚飲料として使用されているアヤワスカが北米に広まる中、MDMAやマッシュルームなどのLSDは21世紀に入ってその影が薄くなってきている。北米における幻覚剤の中でLSDは主流を占めるものの、2000年あたりを境にその入手性は史上最低レベルにまで落ち込んでいる。しかし、毎年実施されている高校生に対する規制薬物使用の実態調査(Monitoring the Future)等、従来方式の調査によると、薬物の危険に対する認知度や薬物使用に対する拒否感は劇的に下がっている。にもかかわらず、アシッドを含むLSDがアメリカにおける違法薬物の主役の座に戻った。ある研究によると、2012年から2014年の間の"LSD"というキーワードによるGoogle検索数は、倍増したという。さらに、世界規模でのLSD関連の組織や活動も明らかに増加している。これらはLSDブームが盛り上がりつつあることを示している。

使用量の低下と新たな研究の増加

この状況は今に始まったことではない。80年代中頃にリック・ドブリンが設立したサイケデリック総合研究協会(MAPS)は、クリントン政権下での安全な基礎研究に先んじて、官僚主義を破って先進的な研究を始めた。LSDの人体に与える影響についての科学的研究が始まって数十年経つが、2014年から研究者やLSD擁護派らが、いわゆる伝統的なLSDは「禁煙、PTSDや慢性的うつ病の治療、群発性頭痛の緩和、死を目前にした末期患者の不安除去などに役立つ」と主張し始めた。研究者たちはまた、「トリップ・トリートメント」と呼ばれ、50年代後半にケーリー・グラントらが提唱した分析作業をさらに進めている。

ここ5年間は、文字通り幻覚を起こさせるLSDを使用した研究を促進する風潮が高まっている。数十年に渡りLSD使用者がただ経験談として語ってきた、LSDによる自我の崩壊度合い、音楽に対する感情的反応や、「音が見える」などの幻覚作用体験などを具体的に数値化するための方法が、新たな調査研究によって確立された。
Translation by Smokva Tokyo

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