アメリカ大統領選挙を中国ではどのように伝えたのか?

By Ito Wagatsuma
Photo by lev radin / Shutterstock
「ドナルド・トランプの勝利」というアメリカ大統領選挙の結果を受け、『人民日報』では、一面に写真なしで「習近平がアメリカ大統領に当選したトランプへ祝電を送った」とだけ伝えた。中国人はアメリカ大統領選挙に関心がなかったのか?中国での報道やSNSでの反応を読み解く。

予想外の展開となったアメリカ大統領選挙について中国では、11月10日の共産党系新聞『人民日報』にて、一面の右上、写真なしで「習近平がアメリカ大統領に当選したトランプへ祝電を送った」とだけ伝えた。他紙も追随するように文字で伝えたのみだった。

では、中国人はアメリカ大統領選挙に関心がないのかと言うと、そうでもない。中国人はアメリカ大統領選挙に高い関心を示し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では非常に盛り上がりを見せていた。

日本では各局が開票速報をアメリカからの中継を交えて伝え、日本時間午後からのトランプ氏の勝利演説も最初から最後まで中継するなどしたが、中国では、中国中央テレビ(CCTV)での開票速報など中継はなく、SNSなど各ネットメディアでも選挙戦自体を一切報じなかった。
 
その理由を中国在外の中国語メディアは、CCTVもSNSメディアもアメリカ大統領選挙を批判的に伝える特番を予定していたが、中国政府のメディア管轄機関からの番組中止の通達があり、中継や特番そのものがなくなったと伝えている。

中国関係筋によると、中国政府は、アメリカ大統領選が話題なることが、政治の民主化を求めたり、共産党への批判などの動きへ発展することを恐れ、中国政府は、アメリカの民主主義は、貧富の差を拡大させ、腐敗を生み、社会が混乱する元凶となっているなどと頻繁に批判している。

そもそも中国では他国の事故や政治スキャンダルはいち早く詳細に伝えるが、選挙については、例え香港のことであってもあまり伝えない。その理由は、中国国内で選挙へのあこがれや直接選挙を求める声が高まることを警戒しているからとされる。

さて、今回、ヒラリー候補とトランプ候補のどちらを中国は望んでいたかと言うと、ヒラリー氏は、就任当初はオバマ政権を踏襲し、中国の人権問題や南シナ海問題へ干渉してくる可能性があるが、ビル・クリントン政権時代のつながりから親中と考えられており、長期的には中国にとってプラスになるのではと言われており歓迎されていた。

一方、トランプ氏は、自国優先や保護主義的な公約を発言してきたので、中国への干渉が減る可能性があり、期待はできるが、ロシアとの関係回復も公言しており、中国にとってはアメリカへ対抗するためにロシアとの連携強化は不可欠なので、親ロシア的な政策は望ましくない。それ以前にトランプ氏の経済政策や外交方針が不透明なので、中国経済や安全保障などへの影響が心配されるなどを懸念する声も上がっている。

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