YOSHIKIとジーン・シモンズが語る、互いへの思いとドキュメンタリー『We Are X』

YOSHIKI:ステージが巨大なスタジアムであっても、僕は同じように叫び、自分の内側をすべて晒け出す。ファンに自分のすべてを知って欲しいんだ。

ー何があなたにそうさせるのでしょう?

YOSHIKI:僕はステージに立つ時はいつも、それが最後のライブになるかもしれないと覚悟している。父が他界した後、僕は自殺を何度も考えた。橋を渡るたびに立ち止まり、身を投げてしまおうと思った。そんな時に、僕はロックに救われたんだ。いつか死神がやってくる時、僕はステージに立っていたい。やるべきじゃないと頭ではわかっているのに、いつも気づけばドラムセットにダイブしてしまっているんだ。打ち所が悪ければ視力を失う可能性だってあるのにね。でも僕は、やると決めたことは最後まで徹底的にやるんだ。

シモンズ:まるで自分を清めようとするかのように、ステージ上で涙を流してのたうちまわるYOSHIKIの姿はどこまでもリアルだ。単なるエンターテイメントじゃないんだよ。

ーこのドキュメンタリーでは、バンドが経験した様々な苦境が描かれています。メンバーの脱退や死を経験し、なお進み続けることは容易ではなかったと思います。

YOSHIKI:まず第一に、X JAPANにはリーダーがいないんだ。全員がその役割を担っているからね。最強のバンドを組むために最高のメンバーを探し求めていた僕は、才能あふれるミュージシャンを1人ずつヘッドハンティングしていった。ヴォーカリストだけは別だけどね。彼は僕が4歳の頃から知っている幼馴染で、偶然にも素晴らしい歌声の持ち主だったんだ。僕たちは世界を変えられると、本気で信じていたんだ。

僕たちのヴォーカリストがカルト教団に取り込まれた時は、(ギタリストの)HIDEがこの世を去った時と同じくらい苦しかった。何もかも信じられなくなって、もう音楽をやめてしまおうと思っていた。そんな時に、日本の政府からピアノ協奏曲を書いて欲しいっていうオファーが来たんだ。身にあまる光栄を感じた僕は、ミュージシャンとしてもう一度立ち上がろうと決めた。それを転機に、バンドは再びひとつになり、僕たちはマディソン・スクエア・ガーデンのステージに立った。

そして今、僕の人生を変えたバンドのメンバーでありヒーローのジーンが、すぐ隣で僕らについて語ってくれている。僕の身に起きた奇跡のひとつだよ。自分を信じ、迷うことなく進み続ければ、いつか必ず報われる日が来るんだ。


Translation by Masaaki Yoshida

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