伝説的プロスケーター、ブライアン・アンダーソンがゲイであることをカミングアウト

「隠していることに対して、すごくイライラして怒っている自分もいた。そのことが、俺をスケートボードの上で、さらに野獣化させたんだ」と話すブライアン・アンダーソン。 (Photo by Jared Wickerham/Getty Images)

「自分は第一にスケートボーダー、その次にゲイだと思っている」 と、ブライアン・アンダーソンは語った。

ブライアン・アンダーソンは、1999年にスケートボード専門雑誌スラッシャーで、その年の"スケーター・オブ・ザ・イヤー"の称号を手にし、また同年にドイツで開催されたワールドカップで頂点に立ったプロスケートボーダーだ。当時、世界中のスケーターの間でアイコン的な地位を確立したアンダーソンは、プロスケーターとしてのキャリアの障壁にならないよう、ゲイであることを隠していた。

そんなアンダーソンが、スポーツ専門のデジタルメディアVice Sportsのジョバンニ・レダによる最新ドキュメンタリーの中で、ゲイであることをカミングアウトした。「いつもホモって言葉を聞いてたから、若い頃の俺は、そのことについて話すのは危険だと感じていた」。ニューヨークのクイーンズにある自宅で、アンダーソンはこう説明する。またインタヴューの中で、ゲイであることを世間から隠そうとしていることを友達と家族の多くが気付いていたと話す。「本当に怖かったんだ。もし15年前に公表してたら、世間の捉え方は違っただろうね」。

レダがインタヴューしたオマー・サラザーやフランク・ガーワーといったプロスケーターたちは、アンダーソンのことを「モンスターみたいにがっしりしている」「誰よりも男らしい人」「超絶にかっこいい」と表現する。アンダーソンは、そういった外見が自らの性的指向を多くの人から隠してくれたと自認している。「俺はデカくて、がっしりしたスケートボーダーなんだ」。アンダーソンはこう言う。「それを疑う人はいないだろうね。誰も何も思わなかっただろうよ」。

アンダーソンの友人の一人である女性は、アンダーソンが「お酒で恥を紛らわしていた」様子を見たと話す。またアンダーソンも、「散り積もった敵意と恥」が「クレイジーなことをさせた」と打ち明ける。

「隠していることに対して、すごくイライラして怒っている自分もいた」。アンダーソンはこう言う。「そのことが、俺をスケートボードの上で、さらに野獣化させたんだ」。

セクシャリティをカミングアウトするタイミングを今日まで待っていたアンダーソンだが、アニメ『ポパイ』のブルートが好きだということに気付いた3、4歳の頃から、何かが違うことを認識していたという。「フランネルシャツとあごヒゲのブルートは完璧だって思ったんだ。ブルートに夢中だったね」。こうアンダーソンは言う。「あのキャラクターが好きだっていうのは面白いよ。だって、今も好きだから」。

またアンダーソンは、他のスケーターに惹かれたことはないこと、警察官がスケーターを退去させるためにやって来ることを楽しんでいたと打ち明ける。「“やった。彼らをチェックできるチャンスだ”って感じでね。その後一日中、笑顔でいられたんだ」。

スケートボード・ブランド、トイマシーンの創設者エド・テンプルトンは、スケートボード界の人は、何年も前からアンダーソンがゲイであることを知っていたこと、また、噂が明るみに出た時に、多くの人から電話がかかってきたことを話す。「この世界の全員が知っていたけど、みんな本当にブライアンのことを愛してたから、ばれることがなかったんだ」。こう話すテンプルトンは、アンダーソンがゲイであることを「素晴らしい」と思い、初のトップ・ゲイ・スケーターとして宣伝しようとしたかもしれないとも話している(ジャレット・ベリーとティム・フォン・ヴェルナーもゲイであることをカミングアウトしているが、スケーターとしての功績はアンダーソンに劣る)。

Translation by Miori Aien

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