映画『淵に立つ』:浅野忠信、深田晃司監督が"人間の闇"を覗き込む

By Yasuo Murao
(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMAS
今年、カンヌ国際映画祭で日本映画界の新たな才能が注目を集めた。「ある視点」部門で審査員賞を受賞した深田晃司監督の新作『淵に立つ』は、小さな工場を営む夫婦の物語。

夫と妻と娘の3人で平穏な日々を暮らす家族のもとに、ある日、夫の古い友人が訪ねてきたことが家族の運命を大きく変えていく。夫の友人、八坂を演じて2年連続カンヌに参加した日本を代表する俳優、浅野忠信。そして、緻密に描き込まれた人間ドラマのなかで、役者から生々しい演技を引き出す新鋭、深田監督。いま世界から注目を集めるふたりに話を聞いた。

―まず監督に、物語の鍵となる八坂役に浅野さんを起用した理由を伺いたいのですが。

深田:八坂の人物像を、レクター博士みたいな、いわゆる悪のヒーローみたいなものにはしたくなかったんです。あくまでひとりの人間であり、見え方が変われば、悪でもあるし善でもある存在にしたかった。人って日常生活のいろんな欲望や偶然がきっかけで悪に転んでしまう。善悪の違いは見方次第で、誰もがその両面を持っていると思うんですね。なので、ものすごい怖い表情もできれば、ものすごい優しい笑顔も見せられる俳優ということで浅野さんにお願いしました。浅野さんは俳優として面白い方ですし、ほんとに幅広い役で出ていますから。赤塚不二夫をやった時には、びっくりしましたけど(笑)。


(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMAS

―浅野さんは話が来た時は、どう思われました?

浅野:これまでいろんな役をやらせていただいてきたんですが、若い頃はこういう役を任せられることが多かったんです。"こいつ、ちょっと何かあるんじゃないか?"っていう、そういう役をもう一回追究したい時期でもあったので、僕が言うのも変ですけど"これは僕にやらせたほうがいいんじゃないですか?"って思いました(笑)。"こういう役に関して、僕は徹底的に考えてきましたよ"って。

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