ストーンズのハバナでの歴史的ライヴを収めたドキュメンタリー映画がプレミア上映

By David Fear
トロント国際映画祭でプレミア上映されたドキュメンタリー映画『The Rolling Stones: Olé Olé Olé!: A Trip Across Latin America』で、キューバでのストーンズ初のコンサートに至るまでの経緯が明かされた。(Photo by Gary Miller/FilmMagic)
ストーンズの中南米ツアーを追ったドキュメンタリー映画『Olé Olé Olé!: A Trip Across Latin America』がトロント国際映画祭でプレミア上映され、キューバでのストーンズ初のコンサート実現までの詳細が明らかになった。

飾りを取り除いた『ホンキー・トンク・ウィメン』がこんなにも素晴らしいとは! 

2016年はじめのザ・ローリング・ストーンズの中南米ツアーに同行し、その様子をつぶさに記録したドキュメンタリー映画『The Rolling Stones Olé Olé Olé!: A Trip Across Latin America』(ポール・ダグデール監督)が、2016年9月16日、トロント国際映画祭でプレミア上映された。中南米10ヵ国を巡るミックとその仲間たちを追ったドキュメンタリーは、3月25日にバンドとして初めて行ったキューバでの歴史的コンサートでクライマックスを迎える。バラク・オバマの米国大統領として約80年ぶりのキューバ訪問のせいでストーンズのスケジュールがずらされなければ(大統領はそんなに偉いのか!)、コンサートはもう数日早く実現していただろう。とにかく、このドキュメンタリー映画には、にわかストーンズ・ファンも必見の2つのパフォーマンスが収録されている。どちらのシーンも、ストーンズがジャズ・マーキー・クラブでジミー・リードのカバー曲をプレイしてデビューした50数年前を思い起こさせる。その尊敬すべき老兵たちは、今なおロックンロールを宗教だと人々に信じ込ませる力を持っている。

ひとつ目のシーンは少し説明が難しい。ブラジル公演のバックステージでダグデール監督のカメラが昔話、いや、過去の武勇伝を語り合うミック・ジャガーとキース・リチャーズをとらえる。カメラは突然折りたたみ椅子に座る2人に寄る。リチャーズの手にはギターが握られている。そして2人は『ホンキー・トンク・ウィメン』を歌い始める。正確に言うと、アルバム『レット・イット・ブリード』に収録されたベーカーズフィールド・サウンド・バージョンの『カントリー・ホンク』の方だった。ミック、キース、そしてアコースティックギターのみのフルコーラスを、ワンカットで収めている。リラックスして歌う2人の様子を見ていると、時には喧嘩して仲違いしながらも、兄弟や戦友のように強い絆で結ばれた2人が何十年もの長い間続けてこられた理由がわかるだろう。2人の間には、ロックの魔力を生み出すとても不思議な何かがある。それはごく自然なことのように思えるが、それは「ストーンズについて語るときに我々の語ること」(レイモンド・カーヴァー著『愛について語るときに我々の語ること』にかけている)ではない。生きる伝説や死にぞこないのアイドルでもなく、走り続けるストーンズ株式会社の牽引者でもない。共に信頼し合い、ハーモニーを奏でる2人がそこにいる。「人と人との間の化学反応は言葉では説明できない。特にダートフォードから出てきた2人の間のことはね」と、リチャーズは思っている。

注目すべきふたつ目のシーンは、ステージに釘付けの100万人以上のキューバのファンたちの前で『サティスファクション』が始まるシーン。このパフォーマンスもイントロから最後まで切れ目なく楽しめる。ストーンズはこれまでいったい何回この曲をプレイしてきただろうか? 「世界を股にかけ女の子たちをひっかけてきた」と歌う彼らに、きっとこう聞いてみたくなるだろう。「このオーディエンスのために、いったい何回この曲をプレイしてきただろうか?」と。その答えはない。そしてそのことを彼らはわかっている。このライブをずっと心待ちにしていたオーディエンスのエネルギーに応える彼らの全力のプレイを見れば、彼らが答えを知っているということは明らかである。寝ながらでもプレイできるほど長い間ステージを積み重ねてきた彼らだが、ストーンズは決して自動演奏マシンではない。リチャーズのリフが炸裂し、バンドがそれに続く。何度聴いても初めて聴いた時のように新鮮に聞こえるはずだ。
Translation by Smokva Tokyo

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