スティーヴン・キングが語る作家人生:原稿執筆、結婚生活、大統領選について

―執筆している時、集中する秘訣ってありますか。

単にそう習慣づけられてるだけだよ。だいたいの日は、7時半くらいから昼まで原稿を書いている。一種のトランス状態になるんだ。ただ人生においては"原稿を書くことなんてそれほど重要じゃない"と肝に銘じておかなければならない。家族が必要とする時、緊急事態や何やかやがある時、そこにいることの方がよっぽど大事だ。だがもちろん、雑音は排除すべきだ。ツイッターはやらない。キム・カーダシアンが何をやらかそうとしているのか、ハフィントンポストを見にも行かない。そういったことをするための時間は別にある。僕の場合はたいてい寝る前だ。催眠術にかかったようにぼうっとしながら、バカな犬のビデオなんかに見入ってる時があるよ。

―あなたの中で、もっとも"メイン州的なもの"と言えば。

基本的には、僕はただの田舎ものなんだよ。四輪駆動のトラックだって持ってるし。冬はこれが必要なんだ。ほとんどの道路がめちゃくちゃになるから。

―没後、どんなふうに語られたいですか。

"一生懸命働いた。小説の分野で豊饒なる遺産を残した。地域にも貢献した"。そんな感じで、みんなが語ってくれたらうれしい。ましてあの世については、僕自身、たいした期待は持っていないんだ。作家なんかより、歌手や作曲家、ミュージシャンの方がよほど良いことがありそうだ。

―50年後も『ザ・スタンド』が読まれ続けるとは思いませんか?

だったら本当にいいんだが。もしかすると『シャイニング』だったり、『呪われた町』だったりが、まだ読まれているかもしれない。ホラーやファンタジーは、他のジャンルの本よりも人気が長続きするものだと思うんだ。僕が少年だった頃のベストセラー、例えば『五月の七日間』やアーヴィング・ウォーレスの小説について考えてみよう。でも、そういった名前を挙げてみたところで、相手はぽかんとした表情を浮かべるのがおちだ。たいていの作家はそうなる運命にある。みんな、どんどん先に進むからね。

Translation by Shinjiro Fujita

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