元MALICE MIZER初代ヴォーカル、高野 哲が語る"ヴィジュアル系"時代と今のシーン

By Joe Yokomizo

―なるほど。

僕が当時20何年前にMALICE MIZERにいた時で言えば、例えば新宿のアンティノックっていうパンク、ハードコア寄りのライヴハウスでも、もの凄くいろんなバンドが出ていたんです。いわゆるオケバンもそうだし、(ザ・ストリート・)スライダーズみたいなバンドも出てたし、もちろんパンク、ハードコアも出てれば、コテコテのヘヴィメタルバンドも同じ日にライヴやってた。で、合同打ち上げみたいな感じで、同じ店で飲むんですよ。その時代ってジャンルとかなくごちゃ混ぜのなかで、どうやったらいろんな人に見てもらえるか、世に出ていけるかを、すごく試行錯誤していた。そんな時代を、20何年前に僕は経験していて。インダストリアル・ロックを早めに取り入れたりっていう部分も含めて、新しいもの好きとか、時代を作っていくっていう気持ちが強い人たちが、いわゆるヴィジュアル系っていう枠でひとつのシーンを作っていったんだろうなっていう感じはしているんですよね。で、"こんな写真や映像だったら、絶対にみんなびっくりするぞ"とか、"こんな音楽だったら絶対に誰も聴いたことないだろう"っていうのを取り入れていた世代まではいいんですけど、その後、その心意気とか気概じゃないところで、本当に悪い意味でのヴィジュアル系ができちゃった。ただのフォロワーでしかないバンドとかシーン・・・そこが評価を下げてるのかなっていう気はちょっとしちゃうんですよね。若い世代にもの凄くいいバンドもきっといるんでしょうけど。でも、その80年代から日本のライヴハウスシーンで、どうやったら世の中に出ていけるんだろうって考えまくって、チャレンジしまくってた人たちの連続がいわゆるヴィジュアル系の本来のシーンだと思います。で、傍から見ていて、繋がりはないけれど、DIR EN GREYまではそのシーンが続いていた気がします。で、今の評価の低さっていうか、差別化されちゃってるのは、チャレンジャーたちの真似事になっちゃってるから。

―見た目の話じゃなく、なんとか世に出たいという動機があり、そのために切磋琢磨してたかどうかが問題だと。

フォークからロックに一気に日本のシーンが移行したのは、(忌野)清志郎さん、RCサクセションの存在だと思うんだけど、逆に言うとそういうロックの大きな枠がずっとあった。僕がMALICEをやっていた当時、そうじゃない枠で何かないか、あるいはなんとかそこから抜け出そうという時代だったんだと思う。そこを闘って、ぐしゃぐしゃっとしたところから頂点まで駆け上ったのがLUNA SEAさんだったりするでしょうし。それで新しい枠が出来上がったんだから、その後の世代は別のことをやればいいのにみんな同じようなことをやってるなって思えちゃう。しかもメイクが濃いもんだから、みんな同じに見えちゃうし。

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