チケット自動購入ソフト"チケットボット"と音楽業界終わりなき戦い

アデル、チャンス・ザ・ラッパー、リン・マニュエル・ミランダをはじめ多くのアーティストが、チケット自動購入ソフト"チケットボット"を非難している。しかしファンにとってデメリットなのか?(Photo by Jahi Chikwendiu/The Washington Post via Getty Images)

アデル、チャンス・ザ・ラッパー、リン・マニュエル・ミランダをはじめ多くのアーティストが、チケット自動購入ソフト"チケットボット"を非難している。チケットボットはファンにとってメリットなのか、デメリットなのか?

例えば、ブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』の主役でクリエーターでもあるリン・マニュエル・ミランダが、何千枚という大量のチケットをすくい取っていく自動購入ブログラム"チケットボット"を利用して法外な価格で転売するような行為の排除に乗り出したとしても、ダフ屋のマーケットは消滅しそうにない。2016年初頭、ブロードウェイの人気ミュージカル『ハミルトン』の2万枚のチケットがひとつのボット・プログラム経由で転売された。100公演分のチケットが法外な価格で転売されたことにより、ダフ屋は1,550万ドルの利益を上げたという。この事態に対しミランダは2016年8月初旬、チャック・シューマー上院議員と協力し、チケットボットの利用者に対し最高1万6千ドルの罰金を科す法案を可決するよう働きかけている。「ダフ屋によるチケット価格の釣り上げにとても脅かされている」とミランダはローリングストーン誌に語っている。

ライヴ・コンサート・ビジネス界でチケットボットが大きな問題となっている中、とあるソフトウェア・デベロッパーが何十万枚ものチケットをチケットボットを使って購入し、StubHub(チケット売買サイト)経由で3,100万ドルで転売した。しかし80億ドルともいわれるチケット転売マーケットの規模からすると氷山の一角でしかない。「チケットボットの世界は全く不透明で、R2-D2を攻め立てたところでなんの意味もない」と、See TicketsのCEOロブ・ウィルムズハーストは言う。イギリスに本社を置くSee Ticketsはアデルのイギリスツアーのチケットを取り扱い、ロサンゼルスにも支社を出している。

Translation by Smokva Tokyo

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