コナー・マクレガー:UFCスターが完璧なプロレスの悪役になる理由

このほかにも原因というのか、ひょっとしたらこのアイルランド出身のマクレガーは、別のことを示唆しているのかもしれないという、ほんのわずかな可能性があり得る。つまり、我々は近い将来、マクレガーをWWEのリングで見ることになるかもしれないという一縷(いちる)の可能性だ。ケン・シャムロックやタンク・アボットをはじめとする、格闘技の技術をプロレスのリングでいかそうとしたこれまでのMMAのスター選手のようにはいかないかもしれない。ただ、もしかするとマクレガーは、WWEとのライバル関係が来年4月の『レッスルマニア33』の頃にちょうど沸騰するように時間をかけているのかもしれない。あるいは、ロンダ・ラウジーを引き連れてスキットのセグメントに登場するだけなのかもしれない。あるいは、もっと大きな役割を演じるのかもしれない。あくまで1つの可能性として、マクレガーは実際にWWEで試合をしたいと思っているのかもしれない。

もちろん、マクレガーが長期的にプロレスに取り組むとは思わない。1試合か2試合、ブロック・レスナーを会社人間のように見せている気持ち半分、ほとんど欠場というコミットメントのたぐいなのかもしれない。『レッスルマニア』に姿を見せ、WWE最大の舞台で試合を行い、大金を得れば、その名声もさらに少しは高まるだろう。プロレスラーが毎晩のように身体にどれほどのダメージを受けているのかは、狂気の沙汰の寸前だと識者は口をそろえる。それでもファンやマクレガーがプロレスラーのことを罵倒するのは構わない。しかしマクレガーでさえ、WWEのような有名ブランドにかかわることで、プロフェッショナル・スポーツとしては比較的新参のUFCやMMAに詳しくなかったであろう数百万人のファンからの注目を浴びることができるという事実は無視できない。

もちろん、これらのことは何一つ起きないかもしれない。マクレガーはおしゃべりが大好きだし、彼がWWEをからかうのも自由だ。何の問題もない。マクレガーはこれまでにこんなことをしたことがなかったかといえば、そうでもない。ただ、万が一WWEと”ザ・ノトリアス”ことマクレガーの遭遇の可能性があるのだとしたら、あるいはそんな可能性はないのだとしても、1つはっきりしていることがある。それは、コナー・マクレガーはプロレス界最大のヒールになる方法を見せてくれていて、それを見ることはとても楽しい、ということである。

コナー・マクレガーはフォーブス誌の高収入アスリート・リストにランクインした初のMMAファイターとして歴史に名を刻んでいる。

Translation by Kuniaki Takahashi

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