新しい世代にザ・ビートルズを伝えるテレビアニメ『ビートバグズ』

ウェイクリーは、曲を確保するために3年を費やした。最初に交渉したのは、バンドの曲のカタログを管理している音楽出版社、ソニーATVオーストラリア部門のダミアン・トロッターだった。「ビートルズの版権を獲得するにはどうすればいいか聞きました。すると、『無理ですね。彼らは許諾しませんよ。版権の保護に徹底しているんです』と言われました」。

しかしウェイクリーにとって、ビートルズ自体をテーマにしたシリーズを作る気がなかったことは幸いだった。ビートバグズの中には小さなビートルがいるが、彼の名前は、ポールでもジョンでもジョージでもリンゴでもなく、ジェイだ。「『ビートバグズ』は、ビートルズのイマジネーションとメロディにインスパイアされました」とウェイクリー。「彼らの作品を使って常に全く新しい世界を作ることが狙いでした」――そのコンセプトを聞き、ソニーATVは企画に賛同した。

楽曲の使用権を確保したウェイクリーは、グローバル・ディストリビューション・パートナーとして、Netflixに企画を売り込んだ。パートナーシップが結ばれると、彼はまず、パール・ジャムとエディ・ヴェダーのマネージャーをしているケリー・カーティスに電話をかけた。「彼は、『エディと話してみないと。でも、素晴らしいアイデアですね』と言ってくれました。そして、エディが承諾してくれて、幸先のいいスタートを切れました」――ほどなくして、ザ・シンズ(『愛のことば(The Word)』)、シーア(『ブラックバード(Blackbird)』)、P!NK(『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ(Lucy in the Sky with Diamonds)』)、ジェームズ・コーデン(『アイム・ア・ルーザー(I’m A Loser)』もオファーを承諾した。「音楽が異なる世代をひとつにするのを見てきたけど、ジョシュがやったことはその好例だ」と、ヴェダーはローリングストーン誌へ宛てたEメールで述べている。(シーズン2には、ロッド・スチュワート、ジェニファー・ハドソン、クリス・コーネル、オブ・マイス・アンド・メンが参加している)


ジェームズ・コーデンが歌う『アイム・ア・ルーザー』

Translation by Naoko Nozawa

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