有田芳生[参議院議員]が語るヘイトスピーチ:法律の効力はすでに証明されている

By Joe Yokomizo 2016/08月号 P82〜0 |
ローリングストーン日本版2016年8月号掲載/有田芳生[参議院議員]
ローリングストーン日本版2016年8月号掲載
ヘイトスピーチ対処法成立〜施行で何が変わるのか〜

2013年から国会の場でヘイトスピーチを主題に出し、法規制の必要性を説いてきた有田芳生。異例のスピードで実現したという本法案成立のために第一線に立ち尽力してきた有田に、その真価をきいた。

—ヘイトスピーチ対策法が成立しましたね。2014年8月の国連人種差別撤廃委員会での日本審査で、日本側は「日本には深刻な差別はない」と主張したことを考えると、法案成立の意味は大きいと思います。一方で、罰則を伴わない理念法であることから、その効力を疑問視する声もありますが。

"ヘイトスピーチ対策法ができたって、効力がない"という意見は、法案を出した時からずっとありますが、可決前から既に具体的な効果が出ています。いちばん大きかったのは、横浜地方裁判所川崎支部が市内の在日コリアンの男性が理事長を務める団体の施設周辺へのデモを禁止する決定を出したことです。さらに川崎市は、"差別の煽動を繰り返してきた主催者には公園を貸さない"と判断した。これは6月3日の法案施行の、前日の出来事です。そのため、効力がないとの批判は施行前から崩れていると言えます。さらに言えば、(6月5日に)それでも川崎市中原区でデモをやろうとしたヘイトスピーチ常習者に対し、警察がこれまでにない対応をしました。あの日も、デモを止めようとする側による"座り込み"が自然発生的に起きた。これまでは、警察官は座り込みを引っこ抜いてデモを通してきたけれど、それをやらなかった。警察官にも、ヘイトスピーチに不愉快な想いを持つ人はたくさんいたはずだけど、これまでは職務として差別常習者たちを守らざるを得なかった。が、国がヘイトスピーチは許さないと宣言したことで、警察もそうした態度に出られたわけです。

—なるほど。この法律の"差別的言動"には、街頭でのスピーチだけではなく、出版等も含まれるため、表現の自由に抵触するとの懸念も叫ばれていますが。

罰則はないので、本が回収されたり、出版社に捜査が入ったりすることはありません。しかも法務省は現在、ヘイトスピーチを"危害""排除""侮蔑"の3つの類型として、その要件を満たすものは表現の自由の範疇には入れていない。ご質問の心配は、懸念でしかありません。
Text by Nanako Kubo (RSJ)

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