テイラー・スウィフトは、カニエ夫妻を訴えることはできるのか?

スーシェール氏とブラウン氏は、今回の騒動においてテイラーが法的措置を取ることができるいくつかの可能性を挙げた。また両者は、カニエが米国憲法修正第1条の下、テイラーについて歌う権利があることを認めている。テイラーがカニエを相手に訴訟を起こすと決断した場合、テイラーの弁護士チームが考慮すべきこととは?

プライバシーの権利
カリフォルニア州法では、会話に参加した両者の同意なしに会話を録音してはいけないことになっている。一方で、ニューヨーク州とテネシー州では、どちらか一方の同意で録音することが許されている。テイラーとカニエが電話をした場所は、明らかになっていない。「世間が推測しているように、それがカリフォルニア州内であったなら、会話を録音することをテイラーに伝えていなかった場合、あるいは第三者、つまりキムが会話を聞いていることを知らなかった場合、テイラー・スウィフトのプライバシーの権利が侵害されたことになります。彼女が会話が録音されないこと、第三者に聞かれないこと、そしてそのことで被害を受けないということを合理的に予測できた場合も、侵害ということになります。彼女が被害を受けたかどうかは、今回の場合では推測になってしまいます」とブラウン氏は説明した。

カニエがスピーカーフォンを使っていたことは、テイラーがプライバシーの権利を捨てていたと考えることはできないのか。このことについてスーシェル氏は、「必ずしもそうとは言えません。スピーカーフォンを使う場合、相手にそのことを伝えるでしょう。でも彼は、彼女に伝えたでしょうか?彼女は彼が一人でいると思ったのでしょうか?このことは必ずしも明確ではありません」と意見した。

「スナップチャットの動画のコピーが作られると、その後にも残ることになります。
名誉棄損の訴訟を阻むことにはなりません」

意図的な精神的苦痛
「非常に強い言葉("ビッチ")を使う目的はあったのでしょうか?苦痛を与えるために使われたのでしょうか?しかし会話を書き起こしたものを見てみると、テイラーが"あなたがより良いと思う歌詞を使ってちょうだい"と言っているので、彼女がカニエにクリエイティブな権利を全て与えたのかどうか気になります。テイラーはカニエの曲でビッチという言葉が使われることに関して、名誉毀損で訴えることを放棄したのでしょうか?」とスーシェール氏は言う。

さらにスーシェール氏は、「しかし、興味深いのは"俺は君が喜んでくれる歌詞にしたい。人を嫌な気持ちにさせるラップしたくないんだ"とカニエが話した後のテイラーの言葉です。"私について何か良いことを言ってよ?"という彼女の発言です」と続けた。

この場合、キムはどのような立ち位置なのだろうか。スーシェール氏は、「この訴訟の対象は彼女(キム)となる可能性があるでしょう。特にテイラーと、これまでのキムとカニエの関係を考えた場合です。スナップチャットに故意に投稿する行為は、意図的な精神的苦痛に該当します」

名誉毀損
「カニエ・ウェストはテイラー・スウィフトを中傷するために"ビッチ"と呼んだのでしょうか?違います。あれはカニエ節です」とブラウン氏は言う。「彼女のファンの前、アルバム購入者の前で、テイラーを傷つけたでしょうか?おそらくそんなことはありません。軽蔑的であることは、間違いありません。攻撃的であることにも、間違いありません。しかし、名誉毀損でしょうか?それは違うでしょう。カニエ節です」

スーシェール氏は、「あれは修辞的な誇張だったのでしょうか?真実と全く違う意味を持つ言葉、文字通りの意味を持たない誇張だったのでしょうか?人に対する発言が乱暴であればあるほど、言われた人が名誉棄損を訴える傾向が低くなります。彼女が名誉棄損で訴えることに決めた場合は、それは彼女の評判を守るためでしょう」

さらにブラウン氏は、次のように続けた。「“ビッチ”という言葉はまた、今ではとても頻繁に使われている言葉です。特に音楽業界ではそうで、昔に比べるとそれほど強い言葉ではないのではないでしょうか?名誉毀損であるかもしれませんし、そうでないかもしれません。両極端の意味の可能性がありますね」

では、キムの行動は罪に値するのか。スーシェール氏は、「カニエとテイラーの会話ではありますが、キムが投稿したということで、名誉棄損罪を問われる可能性があるでしょう」と意見した。

Translation by Miori Aien

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