映画『ロスト・バケーション』:美人サーファーとサメの死闘

ブレイク・ライブリー、映画『ロスト・バケーション』で(サメだらけの)窮地に立たされる。

この夏、息詰まるサスペンス・スリラーで、ブレイク・ライブリー がサメだらけの海に取り残される。

ビキニ姿のホットなブロンド娘がホホジロザメに襲われる映画ならみんな観たがるだろう。――そういう愚かなハリウッドの考え方が、使い捨てのサマー・ムービーを生む。『ロスト・バケーション』も、そんな映画のひとつだ。しかし、『ジョーズ』のようなクラシックとは一線を画すこの息詰まるサスペンス・スリラーは、私たちを震え上がらせる。

テレビドラマ『ゴシップ・ガール』でブレイクして以来、女優として着実に実績を挙げているブレイク・ライブリーが、亡き母が好きだったメキシコのビーチでひとりきりの時間を満喫しようとする医学生のナンシーを演じる。サーフボードと携帯電話で武装したナンシーは、FaceTimeで家族に電話し、故郷のテキサスの事情を説明する。幼い妹は、お姉ちゃんの所へ行きたいと言う。父は、ナンシーが医大を辞めたがっていることにまだ腹を立てている。――母の死が彼女の痛手になっているのだ。最初に、ナンシーは別の種類の肉食動物に遭遇する。他には誰もいない入り江に、2人の若いメキシコ人サーファーの先客がいたのだ。ひとりは、都合よく頭にGoProのヘルメットカメラをつけている。一緒に行こう、と彼らは気さくに彼女に声をかける。彼女は微笑むが、誘いには乗らない。

ちょっと待て、スリルを求めている観客をこれ以上待たせる気か? 監督のジャウマ・コレット=セラ監督(『フライト・ゲーム』)と脚本のアンソニー・ジャスウィンスキーは私たちの気持ちをわかっている。だからこそ、ひとりの少年がビーチでカメラを見つけて、サーファーがサメに丸飲みにされる映像が映るフラッシュフォワードで映画が始まる。なるほど、いいアイデアだ。

Translation by Naoko Nozawa

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