マジック!フロントマンが語る、大ヒット曲『ルード』の影響と新譜にかける思い

─『ルード』が成功した後、どれくらいでこの曲を歌うのが嫌になりましたか?

すぐに嫌になった。ヒットした瞬間から、毎日『ルード』を歌うわけだから。ずっと『ダンス・モンキー』って曲を書きたいと思っていたけど、まだ、それほどの気持ちではなかった。『ルード』が大ヒットした時、その気持ちはどんどん大きくなったよ。「ああ、今の俺はダンシング・モンキーだ」って思った。『ルード』を歌うのはいつも楽しいし、楽しんでいないわけじゃないよ。でも、プロモーションって、ツアーをするのとは違うんだ。プロモーションの時は、1曲か2曲を何度も何度も歌わなきゃいけない。俺たちは毎日、たいていアコースティックで1日に3回は『ルード』を披露していたんだ。「こんなのバカげてる!ちょっと多すぎるけど、まだ楽しい」って感じだったよ。

─『ルード』に対する批判については、どう対処しましたか?

この曲を気に入らなかった人は、どんな曲も好きにならないと思う。彼らは何でもかんでも批判する人たちなんだとバンド内では話しているよ。

─それでも、この曲は本物のレゲエ・アーティストにも受け入れられましたよね。

うん。すごくおかしいけど、今では彼らも皆、俺たちの友達さ。ジャマイカやバルバドス、タイに行ったけど、皆「すごく良いじゃないか、兄弟!」って感じで、受け入れてくれた。そうなったのも、俺たちが優れたソングライターだからで、レゲエ云々は関係ないと思うんだ。レゲエという要素のおかげで、彼らが理解しやすくなることはあると思うけど、俺は曲作りの面が評価されたと思っている。実際、ジャマイカでトップ10に入ったシングルは4枚くらいあるから、ジャマイカは他の国とは違う。世界でもアメリカやヨーロッパの一部の国では、人気が出たのは『ルード』だけだけど、ジャマイカでは1日中、4曲も流されていた。

─アメリカの人たちから一発屋だと思われているのは何となく感じていますか?

そんなことを言われたことはないけど、多くの人が「『ルード』を歌うつもりなのか?」って考えているんだろうなとは思うよ。ノー、イエス、どうでもいいだろ?誰も気にしないよ。俺がこの曲を歌うかどうかなんて気になるのか?エアロスミスを見てみると、彼らがチャートで1位を取ったアルバムは1枚で、彼らの曲はすべて皆に知られていて愛されているし、アリーナのチケットは完売していると思う。コールドプレイを見てみても、彼らがチャートで1位を取ったアルバムは何枚あると思う?たぶん1枚か2枚だよ。誰もそんなこと知らないだろ?でも、彼らは音楽を作って、それを発表し続けている。俺たちがやるべきことは、自分たちの音楽を作ることだけだから、1位になろうが20位になろうが、俺たちにとってはそれだけで成果なんだよ。だって、自分たちが作った音楽を世間に発表できたんだから。完全なオリジナルでね。


「世の中の人たちのために、長く音楽を作り続けていきたいし、信頼されるようになりたいと思っている」と語るアトウェ。(Photo by Brian Bahr/LatinContent/Getty Images)



─マジック!は息の長いバンドで、一度の大ヒットで燃え尽きないバンドであると主張しているようですが。

俺 たちは、世の中の人たちのために、長く音楽を作り続けていきたいし、信頼されるようになりたいと思っている。それは簡単なことではないけど、どうやって信 頼を築いてくのかっていう点は一貫している。「もっとすごい曲を届けていくつもりだ」って俺たちが言って、ファンがその曲を聴いて気に入らなかったら、彼 らは愛想を尽かしてしまうだろう。俺たちにはプランがあって、そのプランっていうのは人々を音楽の冒険へと連れて行くことなんだ。これから歳をとって変 わっていっても、俺たちの音楽はすべてを乗り越えるものでなきゃいけない。俺たちは既に次のアルバム3枚分を視野に入れているから、『ルード』はただの序 章にすぎないのさ。

Translation by Shizuka De Luca

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