「生きなくちゃ」:過剰摂取状態のプリンスが遺した言葉

プリンスの愛弟子であるジュディス・ヒルが、イリノイ州モリーンの空港へ緊急着陸した際の顛末を明らかにした。 (Photo by Karrah Kobus/NPG Records via Getty Images)

「彼の死は時間の問題だと感じたけれど、とにかく飛行機を降ろしたの」と、プリンスの愛弟子であるジュディス・ヒルは緊急着陸時の様子を語った。

シンガーでありプリンスの愛弟子であるジュディス・ヒルは、プリンスが亡くなるわずか6日前の4月15日、プリンスが機内で意識を失い緊急着陸したプライベートジェットに同乗していた。

ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューの中でヒルは、プリンスと過ごした最後の様子を明らかにした。プリンスとヒルは、プリンスの最期のコンサートとなったアトランタでの2公演を終え、ミネアポリスにあるプリンスの自宅のペイズリー・パークへ帰る途中だった。機内には他に、長年プリンスを支えたカーク・ジョンソンもいた。

ヒルは初め、プリンスがただ眠っているだけだと思っていたという。その後、ジョンソンとヒルはプリンスの意識がないことに気づき、パイロットへ知らせた。「彼の死は時間の問題だと感じたわ。だけど機内で私たちにできることはなく、ただ緊急着陸させるしかなかったの」と、ヒルは振り返る。

彼らの乗るプライベートジェットは、イリノイ州モリーンの空港へ緊急着陸し、プリンスは待機していた救急車で病院へ搬送された。搬送途中、プリンスは麻薬拮抗薬のナルカンを投与された。一般的にナルカンは、オピオイドの過剰摂取時の治療薬として使用される。ヒルによると、トリニティ・モリーン病院へ到着する頃にはプリンスは意識を取り戻し、話ができるまでに回復していた。その時ヒルはまだプリンスが抱える薬物問題については知らなかったという。プリンスの容態に関する最初のニュースでは、彼はインフルエンザにかかっていたことになっていた。今思えば、この時既に薬物依存を疑う兆候が出ていた。

映画『バックコーラスの歌姫たち(原題:20 Feet From Stardom)』に出演したヒルは、映画が公開された2013年当時のインタビューで「プリンスとの競演が夢」と語っている。たまたまこのインタビューを見たプリンスが彼女にアプローチし、2014年にはヒルのデビュー作『バック・イン・タイム(原題:Back in Time)』の製作を手がけ、翌2015年には同タイトルのデビューアルバムの共同プロデュースも行っている。

Translation by Smokva Tokyo

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